NTTコムウェア(杉本迪雄社長)は、新しい感覚でITが操作できる「タンジブル」をベースとして災害情報管理システムを製品化し、事業として本格的に拡大を図ることに乗り出した。地方自治体を対象に新規顧客の開拓を進めており、大規模な案件を獲得できる可能性が高まっているという。
災害情報管理の顧客開拓進める
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タンジブル災害情報管理 システムの営業を担当する 香月亜希氏 |
NTTコムウェアが開発した「タンジブル災害情報管理システム」は、デジタルペンと専用紙の活用で、紙地図に手書きで情報を書き込む要領で操作するシステム。これまで東京消防庁池袋都民防災教育センターが、各地域の自主防災組織などに、平常時の訓練用として導入した。
この事例を踏まえて、同社は現在、全国の地方自治体を対象に新規顧客の開拓を進めている。営業を担当するCRM&ビリング・ソリューション事業本部営業企画部営業担当の香月亜希氏は、「平常時にシミュレーションできるので、実際の災害時に迅速に対応できることを自治体の『災害対策本部』にアピールしている」という。現在、IT関連で先進的な自治体を中心に訪問しているところだ。「これまで、数にして10自治体ほどを訪問したが、ほとんどの自治体に前向きに検討してもらっている」という感触を得ている。
多くの案件を獲得するための策については、「システムの価格を最小構成で1500万円程度に設定している。この価格帯は、多くの自治体がGIS(地理情報システム)関連で確保している予算と同水準。GISとの新規導入を検討している自治体をリサーチして交渉していく」という方針を示す。これまでも、予算規模を考慮しながら自治体を訪問したという。また、「すでにGISを導入している自治体については、GISと連係できることを訴えることで案件獲得につなげる」としている。
販路は現段階で直販が中心だが、同社の地域子会社経由で売ることを促進するほか、各地域で有力なSIerとパートナーシップを組むことを模索する。自治体の内情を収集しながら販路を固めることで、すでにアプローチしている自治体から確実に案件を獲得することを目指している。(佐相彰彦)