9月7日に行われたサイバーステーション(福永泰男社長)と日本サムスン(尹晋赫社長)が共同開発したデジタルサイネージのクラウド型サービス「ハルヱとケイジdeデジサイン」の発表会。日本サムスン DMAチームの宮田隆Team長は、「ハルヱとケイジ」の誕生秘話と、「ハルヱとケイジdeデジサイン」でのサイバーステーションとの協業の経緯を明かした――。

垂直統合型ビジネス打開するオールインワンのデジタルサイネージ

日本サムスン DMAチームの宮田隆Team長

 海外のデジタルサイネージ市場では、それぞれに特化した業者が水平分業型でビジネスを行っている。日本では、大手メーカーによるディスプレイ販売を中心とした垂直統合型のビジネスが主流。宮田氏によれば「日本サムスンでも、これまで大手メーカーのシステムに組み込んで販売してもらっていた」ということだが、「メーカーに依存しすぎた結果、08年にメーカーの担当部署がなくなったとき、われわれのビジネスが壊滅的な打撃を受けた」という。

 日本サムスンは、自社にしかない強みを模索した結果、「オールインワン設計」と、ユーザーが自分でディスプレイを設置して運用できる「DIY型設置」「DIY型運用対応」「省スペース設計」、さらにはウェブからコンテンツ作成ソフトをダウンロードして試すことができる「事前製品試用」、そして「お手軽・明瞭価格」という六つのコンセプトで「ハルヱとケイジ」を開発した。商品名は、絵を貼るように簡単にコンテンツ制作・登録ができ(ハルヱ)、液晶ポスター掲示に必要なハードウェアを全部搭載した(ケイジ)ことを表したもの。男の子と女の子の名前は、一男一女の父である宮田氏が「お風呂に入っているときに思いついた」という。

 現在では32型のほか、ジュニア(23.6型)とミニ(19型)をラインアップに加え、展開を図っている。

「協業したいんですけど」で始まった協業話

 サイバーステーションとの協業は、2010年2月、日本サムスンから打診した。宮田氏がサイバーステーションを訪問し、「協業したいんですけど」の一言で始まったという。

 USBメモリを使ったスタンドアロン型で成功を収めた「ハルヱとケイジ」だったが、多拠点に複数台を導入したいという顧客からの声が高まっていた。日本サムスンは、ユーザーの利便性を高めるためにはクラウド化が不可避と判断。ベンチャー企業としてのスピード力や、価格競争力、有力なパートナーを多数抱え、まとめ上げる統合力をもっていたサイバーステーションに白羽の矢が立てた。これが、「ハルヱとケイジdeデジサイン」誕生のきっかけとなった。

 宮田氏は「クラウド型のサービスを開始したことで、ユーザーの選択肢が増えた。パートナーがサービスと組み合わせてハードをレンタルで提供すれば、場合によっては携帯電話のように『デジタルサイネージ0円』という売り方も可能。カギをひねればすぐにサービスを利用できる『ターンキーソリューション』を実現したい」と締めくくった。

「ハルヱとケイジ」は国内デジタルサイネージ市場のブレークスルー

 発表会では、国内でデジタルサイネージの普及活動を行っている業界団体、デジタルサイネージコンソーシアムの江口靖二常務理事が登壇。「ハルヱとケイジdeデジサイン」への期待を語った。

デジタルサイネージコンソーシアム 江口靖二常務理事

 江口氏は「宮田さんが先ほど『お風呂で考えた』と言っていた『ハルヱとケイジ』というネーミングが、市場拡大のブレークスルーになった」と評価。これまでは「~ビジョン」「~システム」といった業務向けの限られた利用を連想させる製品が多かった。「ハルヱとケイジ」の「お手軽」なデジタルサイネージというコンセプトが、一般化した使い方にシフトさせるきっかけになったと江口氏はみる。

 サイバーステーションについては「いち早くSaaSを提供し、ベンチャーのスピードを生かして、突然ワーッとデジタルサイネージの市場に参入し、わずか1年半しか経っていないのに、ガシガシ仕事している」と驚きをみせながら、「サイバーステーションと日本サムスンがタッグを組むことで、これから市場を大きくしていってほしい。今回のサービスだけでなく、両者が画期的な製品・サービスを出すことを期待する」とコメントした。