上下水道処理設備などプラント機械製造の月島機械は、2005年で創業100年となったことを機に、全社システムの刷新による業務プロセス改善(BPR)を実施した。このBPRの一環として08年までに基幹システムを段階的に刷新。新基幹システムは、製造工程の設計、調達、建設工事などのプロジェクト管理システム(PMS)、財務会計・人事・営業を管理するERP(統合基幹業務システム)としてオラクルのEBS(Enterprise Business System)、技術情報ナレッジシステム(EP)の三本柱で構成している。

月島機械
管理本部
情報システム部 部長
久保寺孝次 氏
 新システムの中には、プロジェクト管理として、基幹データを切り出して、部門長などが自部門の予算推移を日常的に確認する重要な「予算管理レポート」機能があった。これには基幹システム刷新前から装備していたBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールでレポートを作成していたが、複数の課題が残っていた。管理レポートの利活用促進への解決手段として、同社では、アプレッソのシステムデータ連携ソフトの「DataSpider」を導入した。

 データ連携ソフトによるレポート作成の改善では、ウェブ画面から手軽に定型レポートをExcelベースで出力することができ、従来から使用しているBIツールと合わせて予算管理に活用できるようになった。久保寺孝次・管理本部情報システム部長は、データ連携ソフトの採用について、「費用対効果や企業戦略に応じて柔軟にスクラップ&ビルドでき、短期間で開発できるシステムが求められる中、異機種混合の部分をより効率よくつなぐ必要があった。その手段としてデータ連携ソフトは必須の解決策であり、DataSpiderはとても役立った」と評価する。

 新基幹システムについて、久保寺部長はIT担当者の立場から「ホストコンピュータなど旧システムを含めたシステム連携部分をプログラムレスにしたい」と希望していた。システムの安定化と容易なメンテナンスを行うために、基幹システム刷新の当初からデータ連携ツールが使えないかと検討はしていた。しかし当時、同社では、基幹システムの再構築に際し、まず「成功例から学ぶ」という方針のもと、「同業の大手他社の洗練された成功モデルを参考に構築、同モデルの同じ外資系BIツールを採用した」と当時のBIツール導入の経緯を振り返る。

 だが、2010年頃、利用していたBIツールベンダーが買収された。このBIツールはBIの利用頻度の高いユーザー向けの高度な機能のツールであり、一般のユーザーが十分に使いこなせてはいなかったこともあり、BIツールそのものに頼らない他の業務改善の仕組みを再検討した。そこで、以前から検討していたデータ連携ソフトでの改善を実施。データ連携ソフトで開発した予算管理レポート作成のサービスは、httpトリガー機能を使い、基幹のデータベースから必要なデータをすぐ抽出できる。そのデータをレポートに加工してExcelに出力する一連の手順をDataSpiderによって実現した。

 久保寺部長は「この改善によって、定型レポートのBIツールそのものの機能への依存度が減り、ユーザーの利便性が増し、レポート利用者も増えた」という。サービス開発者の目線では「システムを“つなぐ”部分を異なる言語や方法で個別にプログラミングするのはすごく面倒。共通の方法で簡単に連携できるのは、とても便利で生産性が高い」と、データ連携ソフトの採用に満足している。開発の手間とコストを削減すると同時に、次のシステムの全体最適化を推進するためにもデータ連携ソフトを使った開発を進めると話している。