【ニューオーリンズ発】「まず申し上げたいのは、変わらないということだ」。今年1月1日、女性として初めて米IBMのトップに就任したジニー・ロメッティ社長兼CEOが、2月29日、ルイジアナ州ニューオーリンズで開催中のIBMの年次イベント「パートナーワールド・リーダーシップ・カンファレンス(PWLC) 2012」で公の場に初めて登場。冒頭にこう発言した。さらに続けて、「機能していることを動かさず、利益の出ている戦略は変えない」と、サミュエル・パルミサーノ前社長兼CEO(現会長)の路線を継承することを宣言した。

ジニー・ロメッティ社長兼CEOが公の場に登場したのはこれが初めて

 ロメッティ社長兼CEOは、登場するなり身振り手振りを交えながらプレゼンテーションを開始。時には会場のビジネスパートナー(BP)からコメントを求めるなど、聴衆を喜ばせる演出もあった。参加者に「パートナーの皆さんに考えてほしいことは、これからどうするかということだ。私は10年前に『PCの時代は終わる』と皆さんに告げ、それがいま現実になった。そして、ここから新しい時代が始まる。すでに『ビッグデータ』はバズワードでなくなっている」と語りかけ、さらには「第三世代のコンピューティングの時代」の到来を告げるなど、メッセージ色の強い発言が相次いだ。

参加者に質問を投げかけながら新戦略の骨子を説明するロメッティ社長兼CEO

 ロメッティ社長兼CEOは、「これからはビッグデータを活用したスマートオフィスの構築に動く時代になる」としながら、BPに向けて「新しいテクノロジーに乗り遅れないでほしい。バックオフィスはもとより、フロントオフィスで事業を動かすシステムが重要になる」と要請。IBMが提唱する「Smarter Planet(スマータープラネット)」を具現化するクラウド環境やビッグデータの処理システムなどを拡充するので、これを「早い段階で吸収してほしい」とした。

 最も時間を割いたのは、ビッグデータに関してだった。企業内のデータは、5年ごとに10倍に拡大する。そのデータの80%は、非構造化データで占められる。ビッグデータを捌くシステムの例として、ロメッティ社長兼CEOは、米国のクイズ番組「Jeopardy!」で人間のクイズ王と対戦して勝利した最新プロセッサ「Power7」搭載のコンピュータ「Watson(ワトソン)」を挙げた。

セッション前に日本IBMの橋本孝之社長と談笑するロメッティ社長兼CEO

 「第三世代のコンピューティング」については、「第一世代が電子計算機、第二世代がオフィスコンピュータ、そして第三世代がこのワトソンだ」と説明。「これからは、コマース領域やモバイル・ソーシャルメディアの領域で、非構造化データが増える。このデータをうまく使えるかどうかで、企業が勝者になるか敗者になるかが分かれる」と語った。IBMの調査によると、企業のCMO(営業戦略担当責任者)の75%は、急速に増え続ける非構造化データに対する準備ができていないことから、「ビッグデータに関連したビジネスにチャンスがある」と訴えた。(谷畑良胤)