【米オーランド発】米IBM(サミュエル・パルミサーノ会長)は、現地時間の2月15日、米フロリダ州オーランドで開催中の「パートナーワールド・リーダーシップ・カンファレンス(PWLC)」で、パートナー向けの新たな制度を発表した。拡大が予想されるクラウド・コンピューティングやビジネス・アナリティクス市場で、パートナーがビジネスチャンスを増やすことができるよう、能力開発やマーケティング、テクノロジー、営業などの研修プログラムを設ける。また、クラウド市場を拡大するために、パートナー向けのイニシアティブ「IBM Cloud Computing Specialty」でパートナーを区分けし、それぞれにテクノロジーなどを提供する。

 ビジネス・アナリティクスとは、散在する膨大な情報を分析し、将来を予測してビジネス最適化のための意思決定を支援すること。IBMによれば、企業内のデータは世界規模で幾何学的に増加を続けている。パルミサーノ会長は「膨大な量のデータから、重要な知識をすばやく抽出する技術が求められている」と指摘。また、1900人のCFOを対象にした同社の調査では、中小企業の約60%が「自社の予測能力に満足していない」と回答している。 

「クラウドとビジネス・アナリティクスの市場への展開は今後重要になる」と語るパルミサーノ会長

 IBMはこれを受けて、ビジネス・パートナーに高度なアナリティクス・テクノロジーや設計・開発・販促、新しいアナリティクス・ソリューションを提供する。また、世界30か国に設立した「IBM Innovation Center」を利用し、パートナーにビジネス・アナリティクスのテクノロジーに特化した新たな研修コースを提供する。さらに中小企業向けには、財務計画や予実管理、予算編成、人的リソースの優先順位決定、利益や成長に関する将来予測などを的確に弾き出すことができるアナリティクス・ソフトウェア「IBM Cognos Express Planner」を発売する。

 クラウド関連では、新たなパートナー向けのイニシアティブ「IBM Cloud Computing Spetialty」を発表した。ここでは、顧客のクラウド導入を五つの特色をもつ専門性の高いビジネス・パートナーに区分け。パートナーのクラウド・ソリューションの構築・販促・販売を支援するほか、同社のクラウド戦略やロードマップに関する社外秘情報の提供や、パートナーのマーケティングやイベントへの資金援助などを行う。区分けは、以下の通り。

(1)SaaS形式などのサブスクリプション・モデルでアプリケーションを提供する「クラウド・アプリケーション・プロバイダ」

(2)主に顧客の基盤にパブリックやプライベート、ハイブリッド・クラウドを統合することでクラウド環境の設計・構築・管理を行う「クラウド・ビルダー」

(3)PaaS形式でアプリケーションベンダーが提供するアプリを実装するパブリック・クラウド・インフラを提供する「クラウド・インフラストラクチャー・プロバイダ」

(4)さまざまなパブリック・クラウド・サービスの再販売を行い、研修や統合などの補助的なサービスを提供する「クラウド・サービス・ソリューション・プロバイダ」

(5)効率的なクラウド活用を支援するクラウド管理・課金・測定・監視などのツールやサービス、テクノロジーを提供する「クラウド・テクノロジー・プロバイダ」

 なお、「IBM Cloud Computing Spetialty」や区分けが、現行のパートナー制度のどの部分に関連するのかは不明。

 さらに、IBMソフトウェアの再販業者限定の新たなプログラム「IBM Cloud Computing Authorization」を開始する。これは、現行の「IBM Software Value Plus」の延長という位置づけで、専門的なスキルを持つソフトウェア・ビジネス・パートナーがIBMソフトウェア・ポートフォリオの再販した量に応じてインセンティブを提供する制度だ。

 パルミサーノ会長は、PWLCのメイン・セッションで「これからのITは、劇的に変化する。それに向けたわれわれの旅路が、いま始まった」と述べ、さらに「パートナーがエンドユーザーにシステムを提案するとき、付加価値を語る環境をつくるために、当社はスキルアップに大きな投資をする」と約束。製品やサービスで顧客に付加価値の高いシステムを提供するパートナーのスキルを上げることが、「当社が生存する重要な要素だ」とした。(谷畑良胤)