早稲田大学商学学術院総合研究所WBS研究センターは、5月25日、「発展する中国IT市場と求められるグローバル経営」をテーマにした日中ビジネス推進フォーラムを開催した。早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)の遠藤功教授が開会の辞を述べ、日本側を代表して国内情報サービス最大手のNTTデータグループのNTTデータ経営研究所の豊田充社長、中国側からは中国最大手の政府系調査会社の賽迪顧問(CCIDコンサルティング)孫会峰副総裁が演壇に立った。

 早稲田大学の遠藤教授は、中国の改革開放以来の目覚ましい経済成長の状況に触れて「日本が忘れかけているベンチャースピリットやスピード感、資金運営のあり方など、学ぶべきところがある」と話した。さらに、日中間には体制や商習慣の違いが多くあるものの、「異質な文化やビジネスとの出会いを契機としてイノベーションを起こしていくべき」と、同質的な国内だけのビジネスではイノベーションに限界があると日本のIT産業界を激励した。

日本側を代表して基調講演を行ったNTTデータ経営研究所の豊田充社長

 NTTデータ経営研究所の豊田社長は、中国ビジネスの特色ある発展に触れながら、一方でビジネス環境の違いなど「中国固有のリスクもある」と指摘。だが、「リスクのないところにリターンはない」として、「日本の産業界は中国と一体となって世界のITを進化させるべきだ」と述べた。

中国側を代表して基調講演に立った政府系調査会社の賽迪顧問(CCIDコンサルティング)孫会峰副総裁

 CCIDコンサルティングの孫副総裁は、中国の情報サービス市場の規模を、「米国とEUに次ぐ世界第3位のポジションにまで拡大し、2011年の業界売上げは前年比16.03%増の1兆1856億元(約16兆円)に到達している」と説明。すでに日本の情報サービス市場の規模を上回り、2012年も同様の高い伸び率で成長している状況を解説したうえで、「中国ITC市場の投資に新たなチャンスが訪れている。CCIDコンサルティングを中国投資の窓口、ナビゲーター役として活用してほしい」と、日中協業に言及して講演を締めくくった。

写真左からドコモ(上海)通信技術の本間雅之董事総経理、インフォテリアの平野洋一郎社長、NTTデータ経営研究所の山上聰ローバルコンサルティング本部長、パネルディスカッションモデレータ役を務める日本ベンチャー学会の柳孝一理事、日本経済新聞社の後藤康浩編集委員、CCIDコンサルティングの孫会峰副総裁、ローソン(中国)投資の門脇浩彦IT総部総監、リムライン(上海)商務諮訊の石田浩総経理、演壇にはBCNの奥田喜久男社長。

 パネラーによるプレゼンテーションでは、日系の有力ITベンダーやITコンサルティング会社、報道機関などが壇上に立った。

 NTTデータ経営研究所の山上聰ローバルコンサルティング本部長は「グローバル・プロジェクトを成功に導くには」、インフォテリアの平野洋一郎社長は「国産ソフトウェアプロダクト、世界中国市場への挑戦」、ローソン(中国)投資の門脇浩彦IT総部総監は「中国におけるコンビニエンスストアの展開とITのあり方」、ドコモ(上海)通信技術の本間雅之董事総経理は「中国におけるモバイル関連ビジネスの可能性」、リムライン(上海)商務諮訊の石田浩総経理は「スマートフォンを利用した中国での交通安全支援」、日本経済新聞社の後藤康浩編集委員「日本にIT企業の中国再挑戦~どう戦うべきか」、BCNの奥田喜久男社長は「日本のIT企業は今、中国に土俵を拡げよう」と、それぞれのテーマでプレゼンテーションを行った。(安藤章司)