アイティフォーは、ネット通販や実店舗を融合させるオムニチャネル事業に力を入れる。同社は小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」と、ネット通販システム「ITFOReC(アイティフォレック)」の両方を自社で開発してきたが、「もはや実店舗とネットを区別する時代ではない」(小玉敏明取締役流通・eコマースシステム事業部長)と判断。オムニチャネル方式による大胆な融合策に取り組むことで流通・小売業向けビジネスの拡大を目指す。

小玉敏明
取締役
 消費者は店舗やパソコン、モバイル、ソーシャルなど多様なチャネルで商品を認知し、検討したうえで購買している。「オムニチャネル」は、こうした複数チャネルのデータベース(DB)を一元化することで、販売機会を増やす手法である。これまでは、顧客のニーズに対応するかたちでパソコン用のネット通販サイトやスマートフォン向けサイトを、そのつど追加する「マルチチャネル」手法を繰り返してきたため、店舗とネットと顧客DBが異なるケースが多くみられた。

 アイティフォーは実店舗向け基幹システム「RITS」とネット通販システム「ITFOReC」の両方を開発しているSIerとして、両製品を融合させたオムニチャネル事業の拡大を推進。小玉取締役は、「流通・小売業の販売面での機会損失を減らし、売り上げを増やす仕組みづくりに力を入れる」という。

 店舗の基幹システムを「RITS」に置き換えたり、「ITFOReC」と既存店舗のDB統合コンサルティングやSIを行うケースなどさまざまなアプローチを想定している。現時点では、「実店舗で購入する割合が高い顧客が多数派」で、「RITS」に片寄せしてオムニチャネルを実現する事例が多い。

 だが、今後はO2O(オンライン・トゥ・オフライン)を含めたネット関連比率が一段と高まることが予想されることから、「ネット通販システムのITFOReC側にも基幹システムに相当する機構をもたせる」(小玉取締役)ことも検討する。また、ネット通販では楽天やヤフーなどネットモールに出店するケースも目立つことから、ITFOReCの多店舗展開の機能を今夏にも強化する予定だ。

 野村総合研究所の調べによれば、ネット購入と、ネットと店舗を併用して購入する割合の合計が2010年には国内小売市場の約23%だったのに対し、15年には49%まで拡大するという。複雑化する実店舗とネットとの融合を進めていくことで、この分野での受注を年率2ケタ増で伸ばしていく方針だ。(安藤章司)