ニッセイコム(武本秀徳社長)は、巧みなマーケティングによって、自社開発の人事給与パッケージソフトの販売数を増やしている。働き方の多様化や、複雑な給与処理を求められる事業所のニーズを吸収することで、他社の人事給与パッケージでは対応できない部分で柔軟性を発揮。ここ数年のうちに100社余りからの受注を獲得するに至った。ユーザー企業の規模も、これまでは従業員100人未満の比率が高かったが、直近の案件では100人を超える規模の企業が増えるなど、案件が大型化してきている。

吉田俊之
執行役員
 売れ筋の人事給与パッケージソフトは、同社がオリジナルで開発した主力ERP(統合基幹業務システム)パッケージ「GrowOne Cube(グローワンキューブ)」の1モジュールだ。このERPパッケージは、人事給与や財務会計、販売管理などのモジュールで構成するが、「社会環境の変化で勤務形態が多様化してきたタイミングを狙って、当社GrowOne Cubeシリーズのなかの給与パッケージモジュールの販売を重点的に行った」(ニッセイコムの吉田俊之・情報通信システム第二営業本部長執行役員)ことで販売増につなげた。

 契約社員や派遣社員など非正規社員の比率の高まりによって、従来の正社員中心の給与体系ではカバーしきれない領域が増加している。「GrowOne Cube」の給与モジュールでは、こうした多様な働き方をカバーできるよう柔軟性を高めた。また、病院など複雑な給与処理が求められる医療機関からの受注を獲得するといった民間企業以外の領域における拡販でも成果を上げた。

 人事給与分野では、ERPベンダーのワークスアプリケーションズや、東芝ソリューションの「Generalist(ジェネラリスト)」などが有名だが、いずれも中規模から大規模の企業をメインターゲットとしており、「中小規模の事業所向けで、多様化した働き方や複雑化する給与体系に対応できる人事給与パッケージソフトがなかった」(同)。そこで、自社開発の「GrowOne Cube」の給与モジュールを徹底的に改善して、中小規模事業者のニーズの変化に対応した。フタを開けてみると、中規模事業者からの受注も増える結果となり、ライバルが強みとする中規模以上の市場も狙えるポジションまで間合いを詰めることができた。

 人事給与モジュールで弾みをつけたことから、今後は「GrowOne Cube」シリーズの販売管理や財務会計モジュールの販売にも力を入れる。販売にあたってはパートナーとの連携も重視しており、全体の3割ほどは「パートナー経由での販売を見込む」とパートナーの技術や営業的な支援を積極化する。こうした取り組みによって、「GrowOne Cube」の主要モジュールは今後3年で1000モジュールの販売を目指す。(安藤章司)