東芝ソリューション(河井信三社長)は、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)やオムニチャネル分野の重点ポイントの一つとして「試着」を位置づけている。洋服や美容、ネイルなどの女性向け商材の選定で、ユーザーにとって最も重要な要素になるのが「コーディネーション(着合わせ)」だ。このコーデをITを活用して飛躍的に容易にしたのが東芝グループが開発した「バーチャル試着」システムで、早ければ2014年度下半期をめどに実用化し、商品化を目指す。

 東芝グループが開発した「バーチャル試着」システムは、画像認証システムの開発で培った高精度人物検出技術を応用した「体型センシング技術」を活用している。人体のボディラインを検出し、体型に合わせて服の写真を画像処理することで、ユーザーの体型に合った試着を実現している。1枚の服の写真でさまざまな体型のユーザーの試着が可能になるので、季節や流行ごとに商品の入れ替えが多いアパレル業界において、「低コストで迅速な試着コンテンツを揃えられる」(東芝ソリューションの吉岡寿朗・商品戦略第二担当主任)というメリットがある。

東芝ソリューションの吉岡寿朗主任(左)と三上茂主任

柿本榮三美容室
林仁美
カラーディレクター
 この4~5月にかけて商品化に向けた実証実験を川崎のショッピングセンター「ラゾーナ川崎プラザ」で実施。ラゾーナ川崎プラザ内にある柿本榮三美容室の店舗に大型ディスプレイとともに「バーチャル試着」システムを設置して、美容室に来店したユーザーにバーチャル試着を体験してもらった。試着用の服を提供したのは、同じくラゾーナ川崎プラザにある3社4ブランドのアパレル店舗で、「美容室の来店客をアパレル店舗に送客する相乗効果」(東芝ソリューションの三上茂・商品戦略第二担当主任)を狙ったものだ。

 実証実験に参加した柿本榮三美容室は、「色」を重視した施術を行っており、今回の「バーチャル試着」もその延長線上で捉えている。この美容室では、利用者の地毛の髪の色や、その人の瞳、唇、肌の色調などを勘案して、「生まれもったパーソナルカラーを利用者に似合う色として提案している」と柿本榮三美容室の林仁美カラーディレクターはいう。これと同じ理論で利用者に似合う色の服を選ぶと、顔色がよく見えたり、透明感のある肌に見せたりできるといい、「バーチャル試着」が顧客満足度を高めることを実証している。

 卒業式や就職活動、冠婚葬祭に代表されるように、一般的なコーデは服選びから始まるとされる。今回の実証実験ではヘアスタイルとともに服選びを支援する発想であり、美容室主導でサービスを提供する点が斬新だ。東芝ソリューションの吉岡主任は、「試着やコーデを切り口にバーチャルとリアルを結びつけることで、O2O/オムニチャネル分野の新しい商材づくりにつなげる」といい、自社グループのコア技術を活用したO2O/オムニチャネル新商材の開発に力を入れる。(安藤章司)

「バーチャル試着」を活用した実証実験の様子