NEC(遠藤信博社長)は、ASEANでの小売業向けビジネスの拡大を目指し、ポートフォリオの拡充や体制づくりに取り組んでいる。この9月、価格を抑えつつ、省スペース化を実現したPOS端末を投入した。これを商材にして、タイやインドネシアを中心に、約3000社が存在するとみられる中堅規模の小売業者の開拓を図る。現地スタッフ向けの技術トレーニングも展開し、販売の活性化につなげる。ASEANの小売市場にどこまで入り込めるのか。迅速に販売網を構築することがカギを握りそうだ。(ゼンフ ミシャ)

大島一郎
シニアエキスパート
 NECは、その国の一人あたりGDP(国内総生産)が3000米ドル以上になれば、リテール市場が本格的に立ち上がるとみて、すでに同額を突破しているタイやインドネシアのほかに、近い将来、達成できそうなフィリピンやベトナムも含め、ASEAN各国をPOS端末の有望市場と捉えている。とくに、タイではコンビニエンスストア(コンビニ)が小売業の主要な業態となっており、日本でのコンビニ向け展開で培った経験を生かし、NECとしての強みを発揮できるとみている。

 この9月に発売したPOS端末は、小型店舗が多いコンビニのニーズを取り込んで、省スペース化を実現している。機能を売上登録や販売促進など基本的なものに絞り、価格を下げて、ボリュームゾーンである中堅規模の小売業者を主なターゲットに据えている。POS端末用ソフトウェアや保守サービスの提供も提案に入れて、ヒューレット・パッカード(HP)など、ハードウェアの提供が中心の競合他社に対抗する。

 事業拡大の成否を決めるのは、現地に根づいた販売網の構築である。NECは現在、インドネシアで3社、フィリピンとベトナムではそれぞれ2社の販売会社と提携しており、「年間、1000台を売ってもらうことを合意している」(グローバルリテールソリューション事業部第六インテグレーション部の大島一郎・シニアエキスパート)という。タイでは現時点で、直接販売だけを行っている。今後、各国で販社を増やしながら、共同プロモーションに力を入れていく。

 直販やパートナー支援に欠かせないのは、現地法人のスタッフの技術スキルを磨くことだ。NECは今年から、本社の技術者をマレーシアに出向させ、ノウハウを伝えることによって、ASEAN各国でのリーダー育成に取り組んでいる。今後、空港内の売店にもPOS端末の需要があるとみて、空港ソリューションと連携して提案することで、POS端末というわかりやすい商材をツールにして、高度な社会インフラ系ソリューションの受注につなげようとしている。