NEC(遠藤信博社長)は、シンガポールを中核地域として、サイバーセキュリティ要員を2017年度(18年3月期)までに1200人に倍増する。シンガポールを拠点とする、本社直轄の海外事業部「Global Safety Division(GSD)」を活用して、セキュリティ関連のコンサルティングや開発に精通する人材を活躍させる。経済成長とともに情報の「安全」が着目されつつあるASEANなどでソリューションを売り込む。(ゼンフ ミシャ)

NEC
清水隆明
CMO
 開発や営業を含め、NECのサイバーセキュリティ要員は、現在、約600人が在籍している。社会インフラを切り口として事業拡大に取り組んでいるNECは、ソリューションの基盤を成す制御システムもサイバー攻撃の対象になりかねないと捉え、「安全の専門家」を1200人に増やすことで、セキュリティの強化を図る。ファイアウォールやアンチウイルスなど他社製品の販売・構築やソフトウェア開発を入れ、17年度、セキュリティ関連で2500億円の売り上げを目指す。ちなみに、13年度の事業規模は約1100億円という。

 NECのCMO(チーフマーケティングオフィサー)を務める清水隆明・取締役執行役員常務は、「セキュリティ要員の育成や配置に関して、シンガポールを中核にする」ことを明らかにしている。NECは、13年、顔認証技術などを活用して安全の向上を図る事業展開の主役を担う「GSD」をシンガポールに設置した。現地に密着し、ASEAN各国のニーズを吸収する役目を担うこの事業部を生かし、ASEANで急速に高まっているセキュリティの需要に対応する。売上目標2500億円のうち、25%を海外で稼ぐことを目指しており、その達成に向け、ASEAN市場をエンジンの一つと位置づけている。

 ASEANでは、経済成長とともに企業のIT活用が盛んになり、システムを攻撃から守るためのセキュリティ対策を講じることが急務となっている。そんな情勢下にあって、日本の総務省や経済産業省は、この10月、「第7回日・ASEAN情報セキュリティ政策会議」を東京で開催し、参加したASEANの10か国の関係者と共同で、インフラ防護の強化を目指すガイドラインを策定した。今後、日本・ASEAN間でセキュリティ関連の情報を共有する体制を築いて、インシデント(セキュリティを脅かす事象)が発生した際に、国境を越えた連携によって迅速な対処を目指す。

 ASEANの政府機関や企業に、ITをいかに「安全」に提供するか──。日本のITベンダーは、提案の内容にセキュリティを含めることが賢い売り込み方法となる。