インターネットイニシアティブ(IIJ、勝栄二郎社長)は、クラウドサービスを商材にして、インドネシアでの事業拡大に取り組んでいる。インドネシアでは、クラウド市場が急成長しており、とくに業務アプリケーションをインターネット経由で利用する「SaaS」のニーズが旺盛だ。IIJは、2014年に合弁事業を立ち上げた大手通信会社Biznet Networks(Biznet)と密に連携し、現地企業の好みに合わせてクラウドを売り込む。(ゼンフ ミシャ)

勝栄二郎
社長
 「日本企業として存在感を発揮していかなければ」──。インドネシアでのクラウド事業に携わるIIJグローバル事業本部グローバル事業開発室の延廣得雄マネージャは、インドネシアでは韓国企業の活動が活発とみて、警鐘を鳴らす。「在留韓国人の数は、公式発表では約1万人だが、実際は5万人以上が現地にいるという見方もある」(延廣マネージャ)という。一方、在留邦人は2万5000人とIIJではみている。経済成長に沸くインドネシアには、日本だけではなく、韓国も着目していて、着々と市場開拓に取り組んでいる模様だ。

 そうしたなかにあって、IIJが注力しようとしているのは、現地パートナーとの提携によって、日本で培ったクラウドのノウハウを現地企業にとって受け入れやすいかたちで届けるということだ。同社は2014年末、インドネシアの大手通信企業5社のうちの1社であるBiznetと共同でクラウドの提供を開始した。日本国内では、赤など強い色を採用して、クラウドサービスのユーザーインターフェース(UI)をつくっているが、インドネシアでは、地場のデザイン会社に発注し、ミント色を基調とするライトな感じのUIを実現した。「『御社のデータは安全なところにあります』という文句も入れたりして、現地の好みに合うよう工夫を凝らしている」(延廣マネージャ)と語る。

 調査会社の米フロスト&サリバンによると、インドネシアの企業はプライベートクラウドを利用したがる傾向が強い。また、パブリッククラウドに関しては、SaaSのニーズが圧倒的に強く、レイヤ別利用では、SaaSは95%を占めているという。IIJは、そうした事情を汲み取って、サービスメニューの拡充を図るとともに、すぐにクラウドの利用を開始できる「ターンキーソリューション」の投入を目指す。同社の現在の海外売上高は40億円強だが、勝栄二郎社長は、「インドネシアをはじめとするASEANをエンジンにし、海外売上高を早急に100億円まで伸ばしたい」としている。