【北京発】KDDI(田中孝司社長)は、中国ビジネスで第三の事業の柱を構築することに着手し始めた。小売り・流通業など、中国で今後大きな成長が見込まれる産業に向けたITソリューションを新たに開発。通信キャリアなど、中国国内に大規模な顧客基盤を有するパートナーをチャネルとして活用し、拡販していく構想だ。塩崎靖彦・中国総代表は、「これまで通り、中国で売上高の2ケタ成長を維持していく」との目標を掲げている。(真鍋武)

塩崎靖彦
中国総代表
 KDDIは、中国本土に13拠点を保有し、約300人の従業員を抱えている。これまでは、現地の日系企業を中心としたネットワークなどのIT構築事業と、現地パートナーと共同展開のデータセンター(DC)事業を主に手がけてきた。北京、上海、広州にある3社の現地子会社で、合計約1000社の顧客を有している。

 近年では、とくにDC事業が好調だ。KDDIは、香港を含めると中華圏に6拠点のDCを構えており、ラック換算では約8500ラックを保有。塩崎・中国総代表は、「北京は先行して売れており、ほぼ埋まっている状況。上海も残り少なく、規模が大きい香港も順調だ」と説明する。KDDIのDCは高品質を強みとしており、ファシリティ面ではNTT Comなどの日系DCと同等レベルだが、「ニーズはローカル系や欧米系などの非日系企業が大きい。日系DC事業者とは、顧客を取り合うのではなく、切磋琢磨しながらともに顧客を開拓している状況」という。DCの顧客は、半数以上が非日系企業となっている。

 一方、日系企業を中心とするIT構築事業は成長が減速。中国商務部によると、2015年1~6月の日本の対中直接投資額は、前年同期比16.3%減の20億1000万米ドルと減少している。新たに工場を設ける日系企業も少なく、KDDIが得意とする大規模なIT構築案件は期待しづらい。塩崎・中国総代表は、「IT構築事業は成長させるが、正直、日系マーケットでの売上2ケタ成長は厳しい」とみて、第三の事業の柱を構築することに着手した。

 新たに開発するのは、小売り・流通や教育、介護、環境など、中国で今後の成長が期待できる産業向けのITソリューションだ。例えば、小売り・流通業に対しては、小規模・多店舗型の経営を考慮したクラウド型ソリューションや、販売・マーケティング支援の分析ソリューションなどを検討している。

 販売先は、日系・非日系を問わないが、市場の潜在力が大きいのは非日系となる。KDDI単独では案件獲得が難しいとみて、すでに非日系企業の大規模な顧客基盤を有している中国の通信キャリアやDC事業者など、パートナー企業をチャネルとして活用する。塩崎・中国総代表は、「例えば、中国の通信キャリアでは、これまでの通信を土台としたビジネスだけで売上が伸びる時代が終わりつつあり、さらなる付加価値の提供が求められている。ユーザーに新たな価値を提供するKDDIの商品を提案し、Win-Winのかたちをつくりたい」と構想を語る。