SRAの中国現地法人である愛司聯發軟件科技(上海)(SRA上海、柏本宜史董事長)の事業が第2ステップに突入した。2011年6月の設立当初から手がけてきた日本向けオフショア開発事業が「完成形に近づいている」(柏本董事長)ことを受けて、15年度(15年12月期)に中国国内向け事業を本格的に開始した。金融業を主要ターゲットとして、モバイル関連ソリューションを中心に提供する。(真鍋武)

柏本宜史
董事長
 SRA上海のオフショア開発事業は、日本のエンドユーザーとの直接契約が100%を占める。SRA上海が営業や受注後の設計、品質管理を手がけ、実際の開発は現地のパートナー企業が担当するモデルだ。過去3年間でオフショア受注量は3倍に伸びており、現在は月あたり1300人月程度をパートナーに委託している。柏本董事長は、「内部設計の品質は、日本国内と同等レベルまで向上している」と説明する。

 中国国内の人件費高騰や円安元高などを背景に、対日オフショア開発の市場環境は厳しくなっているが、SRA上海では今後もオフショア開発事業を拡大する。エンドユーザーとの直接取引のため、下請けと比べて利益幅は大きい。柏本董事長は、「日本国内と同等の金額になるまでコストは問題にならない」と説明する。

 一方、次ステップとして今年開始した中国国内事業では、同社が蓄積してきた証券や信託など、金融業のシステム構築に関する知見・ノウハウを応用する。具体的には、BA(Business Analyst)と呼ばれるSRA上海の人材が、パートナー企業が保有するMADP(モバイルアプリケーション開発基盤)を活用して、同基盤上に顧客の要望に合わせたシステムを構築する。BAは、主に顧客の要望をシステム上で反映するためのBL(Business Logic)の設計や、Amazon Web ServicesやSalesforce.comなどのクラウドサービスをMADPと連携させるためAPI開発などを担当。システムの実際の開発は現地のパートナー企業に委託する。

 営業は、現地の日系企業向けにはSRA上海、ローカル企業向けにはパートナー企業が行う。すでに、ローカル企業の案件が進行中だ。柏本董事長は、「中国の金融機関では、おととしから『リスクヘッジ』という単語がセミナーなどで聞かれるようになってきた」と話し、資産運用などのソリューション需要を期待している。

 SRA上海では、中長期的には対日オフショア開発事業と中国国内事業の売上比率を同等にする目標を掲げている。