週刊BCNは12月10日、「パートナービジネスを積極展開するITベンダープレゼンテーション」と題し、SIerとリセラー向けのセミナーを福岡市の福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センターで開催。基調講演のほか、注目のベンダーが商材とパートナー戦略を紹介した。

 基調講演は、船井総合研究所 経営支援本部 チームリーダー チーフ経営コンサルタントの長島淳治氏が登壇。「脱下請け!脱SES!クラウド時代の新たなビジネスモデルとは」をテーマに講演した。

基調講演で登壇した、船井総合研究所の長島淳治氏

 長島氏は、労働者派遣法の改正やクラウドの普及によってSES(System Engineering Service)ビジネスは、大きな転換期にあると説明。その転換期を乗り越えるための方法を紹介した。「SESビジネスの今後には、大きく三つの選択肢がある。一つは、そのままSESを続ける。二つ目は受託への転換。受託に転換するのは簡単ではなく、期間も約3年はかかる。三つ目は、クラウドインテグレータになる」。 ただし、クラウドインテグレータになるのも簡単ではないことから、長島氏はスムーズに事業体を移行するためのポイントを紹介した。例えば、「保険の窓口」のような役割。長島氏によると、多くの日本企業は「クラウドが有効だとわかっていても、何を選択したらいいのかわからない。簡単に導入できるといわれても、誰かに手伝ってもらわないと怖い」という特徴があるという。つまり、手軽に導入できるクラウドでも、サポートを必要としているというわけだ。長島氏は、そこにチャンスがあるとし、「始めるなら今」と受講者に投げかけて講演を締めくくった。

定員50名のセミナー会場はほぼ満席となった

 続くセッション1では、アクロニス・ジャパン セールスエンジニア部セールスエンジニアマネージャの佐藤匡史氏が登壇。テーマは、「マルチクラウド時代のバックアップ ~アクロニスが提供する次世代バックアップソリューション~」。クラウド活用が広がり、定着したことで、用途に合ったクラウドサービスを選択するマルチクラウド時代に突入しようとしている。佐藤氏は「従来のデータ/システムの保護手段は、マルチクラウド環境での利用を想定していないため、新たなバックアップソリューションが必要になっている」と説明。マルチクラウド環境に最適化されたデータ/システム保護と、ディザスタリカバリの新しいバックアップソリューションを紹介した。

 セッション2では、シュナイダーエレクトリック 戦略・事業開発本部マネージャーの飯島康弘氏が登壇。テーマは「変革期を迎えたサーバールーム事情(ビジネスチャンスと協業の可能性)」。飯島氏は「クラウド環境への移行や仮想化により、中小企業が保有するサーバールームは減少傾向にある」と説明。減少傾向にあるのは、サーバーの統合でラック内に空きスペースが目立ち、オフィス全体の省スペース・電気代のコストダウンの視点から無駄と判断されているため。しかしながら、すべてのサーバーをクラウド環境へ移行できるわけではない。そこで、サーバールームの省スペースと電力コスト削減のニーズを同時にかなえる解決策として、中小規模のサーバールーム向けソリューションを紹介した。

 セッション3では、カゴヤ・ジャパン セールスチーム マネージャーの猪俣成寿氏が登壇。テーマは、「<低価格>ハードウェア専有型クラウドサービスをお薦めする理由」。カゴヤ・ジャパンが提供する専用サーバーFLEXは幅広いOSへの対応やサーバーの拡張、セキュリティ関連の豊富なオプションを有していて、通常のクラウドでは対応できないさまざまなニーズに対応できるのが特徴。また、必要なI/O処理性能を満たす物理サーバーの安定したパフォーマンスと、手軽に利用できるクラウドサービスよりも自由自在なクラウド環境を提供できる。こうした強みを事例を交えながら紹介した。また、セッション3のゲストとして、まほろば工房 取締役の齊藤祐哉氏が登壇し、クラウドの動向などを紹介した。

 セッション4では、ファーストサーバ取締役の狩野英樹氏と、サーバーワークス代表取締役の大石良氏が登壇。テーマは「クラウドにビジネスチャンスあり。SIerがクラウドを好きになる理由」。クラウドが注目されるも、その流れに対応できていないSIerはいまだに多い。とはいえ、多くのサービスでクラウドの利用が必須となりつつある。いずれ、どのSIerもクラウドを避けて通れなくなる。では、クラウド関連ビジネスで成功しているSIerは、どうやってクラウドとの親和性を高めていったのか。AWS(Amazon Web Services)にいち早く商機を見出し、ITサービスを組み合わせて顧客ニーズに応えてきた大石社長との対談形式で、クラウド時代を勝ち抜くSIerの成功事例を紹介した。

 セッション5では、プロディライト システム事業部主任の川崎貴史氏が登壇。テーマは「IP-PBXを用いたクラウド型コールシステムで常識を覆す」。プロディライトは、オープンソースの「Asterisk」を基盤としたVoIPテクノロジー、およびクラウドコンピューティングを融合させたIP-PBXを通じて、変化に柔軟に対応できる情報システムサービスを提供している。全国での実績は800を超える。IP-PBXを用いるメリットについて、川崎氏は「従来のレガシーPBXより施設面やコスト面などでの導入障壁を圧倒的に低くし、今までの常識を覆したシステム開発ができる」と説明。各CRM製品との連携もでき、柔軟なインターフェースを特徴としている。また、営業支援型アウトバウンドコールシステム「ListNavigator.」なども紹介。事例を用いながら、製品の強みを紹介した。

 セッション6では、日本ヒューレット・パッカード 西日本営業部 コンサルティングエンジニアの下野慶太氏が登壇。テーマは「新生HP+アルバが手がける企業ネットワーキングの新たなポイント~モビリティファースト、クラウドファースト~」。かつてのクライアント/サーバーがモバイル&クラウドモデルへと代わり、業務現場におけるモバイル端末の利活用、クラウドベースのビジネスアプリを駆使した働き方の変革が進んでいる。このような「モビリティ」を重視し、企業の生産性を向上させる施策を支えるうえで大切なのは、「新たなネットワーキング」(下野氏)だという。そこで下野氏は、増え続けるモビリティニーズを支えるために必要な「モバイルファースト、クラウドファースト」ネットワーキングのあり方や、明日からの提案活動のヒントなどを紹介した。

セミナー会場の福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センター

 最後に主催者講演として、『週刊BCN』の編集長、畔上文昭が「SIerは死なず!日本のSIerが強いこれだけの理由」と題し、インダストリ4.0におけるITの役割などを紹介しながら、SIerが進むべき道について解説した。週刊BCNでは「SIer、リセラー必聴セミナー」シリーズを全国主要都市で今後も展開することを予定している。