週刊BCNは12月9日、「SIer、リセラーのためのITトレンドセミナー~求む!ビジネスパートナー~」と題し、SIerとリセラー向けのセミナーを福岡県・博多で開催。福岡での開催は今年2回目となる。基調講演のほか、全国展開に注力するベンダーが商材とパートナー戦略を紹介した。

 基調講演は、クラウドサービス推進機構の松島桂樹・代表理事が登壇。「クラウドの売り方~SIer、販売代理店が商機を逃さないために」と題して講演した。
 
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クラウドサービス推進機構の松島桂樹・代表理事

 松島理事は冒頭、「インダストリ4.0のカギは、中堅・中小企業。そこでの導入が進まないと、単なるアドバルーンになる。そのため、いかにして中堅・中小企業にIoTを活用していただくかを考えることが重要」と語った。昨年来から注目を集めるようになったIoTは、今年はいかにして導入するべきかの議論が行われるようになり、来年には導入が進むと予測。「モノからサービスへ」と変わるビジネスモデルにおいて、IoTの役割がどのようなところにあるのかを説明した。

 また、IoTの事例は都市部よりも地方に多く、地方創生に一役買っている。この流れをより確かなものとするために、松島理事は「まずはIoTのソリューションを見せる。そして、試してもらう。効果が実感できれば、継続利用するようになる」とし、そのためにも「顧客からの信頼を獲得して、掛かりつけ医のような役割を担ってほしい」と語り、講演を締めくくった。

 セッション1では、「データ移行・連携時の変換&加工に関する『困った』を解決!~ExcelからDB、メインフレームデータもノンプログラミングで簡単データ変換~」と題し、データ・アプリケーション 開発支援ソリューション本部 RACCOONグループ グループマネージャの山根友氏が登壇。データの移行や連携をノンプログラミングの設定で実現するパッケージ「RACCOON」を紹介した。山根氏は、三つの活用事例を用いてRACCOONを説明。一つは、Excelファイルを使っている業務の効率化。一人で3日かかっていた複数のExcelファイルを使った集計やデータ加工の作業を瞬時に終えることができたという。二つめは、ホストデータの移行。三つめはデータ連携。多くのシステムは、データ連携を想定したつくりになっていないため、RACCOONで交通整理をし、連携を実現する。最後に山根氏は、「データを活用するのが私どものミッション。ぜひ、みなさんとともにビジネスを展開したい」と協業を呼びかけた。

 セッション2では、「次世代ファイアウォール/UTM『Clavister(クラビスター)』のご紹介 ~アプライアンス、仮想、IoT、組込型UTMビジネスを見据えて~」と題し、キヤノンITソリューションズ セキュリティソリューション事業部の柳澤直樹氏が登壇。Clavisterについて、「カーネルから100%独自仕様の自社開発で軽い。OSSなどは使っていないため、攻撃に強い」と紹介。軽いことから、アプライアンス以外に、IoTデバイスでも有効だとして、ビデオ会議システムでの事例などを紹介した。また、ClavisterはOEMにも対応しているため、パートナーの戦略にあわせた展開が可能になっている。最後に柳澤氏は「まったく新しいツールとして、みなさんと一緒にビジネスを考えていきたい」とアピールした。

 セッション3では、「初期設備投資不要!最短2週間でサービスイン! クラウドバックアップを御社オリジナルサービスに!」と題し、アクロニス・ジャパン セールスエンジニア部セールスエンジニアの山本真弘氏が登壇。身代金を要求するランサムウェアの最新動向を解説し、対応策について「クラウドのバックアップが有効。クラウドだとだと隔離できるので、安全に保存できる」とし、同社のクラウドバックアップサービスについて説明。SaaS型で、追加投資不要で、簡単にすばやく導入できるといった特徴を紹介した。次に、同サービスを使って、オリジナルサービスの「使えるCloud Backup」を展開している使えるねっと パートナー事業部パートナー本部長の篠田知範氏が登壇。「データの重要性がわかれば、この事業のおもしろさがわかっていただける」と、新規事業として検討することを促した。

 セッション4では、「総デジタル時代を生き抜くヒントとは ~成長し続けるITビジネスを考える~」と題し、SAPジャパン パートナー統括本部 パートナー開発 シニアマネージャーの斎藤広一氏が登壇。ERPのイメージが強いSAPだが、「売り上げの多くはERP以外。それも多くの安価なソリューションを扱っている」とし、同社のライアップを紹介した。なかでもクラウドサービスに注力していて、「今後1年から2年で、売り上げはクラウドのほうが多くなる」とし、そこでもパートナービジネスが中心になると語った。また、ユーザーの声を動画で紹介し、手軽に導入できるサービスが多いことをアピールした。最後に斎藤氏は「ぜひ、SAPをパートナーとしてみていただきたい」と語った。

 セッション5では、「TCP通信の課題を解決するあたらしいソリューション『Tbridge(ティーブリッジ)』のご紹介」と題し、チエル 西日本営業部 福岡営業所 主任の下野正仁氏が登壇。同社は文教分野に特化していることもあり、同分野に精通している。下野氏は、「2020年までに一人1台のタブレット端末が導入されることになっているが、無線LANが環境によってはうまくつながらない」など、無線LANの最適化ソリューションであるTbridgeが文教分野で必要とされる背景を説明した。Tbridgeを開発した背景や機能については、共同開発パートナーであるNOASystems CEOのJeong Jae Keum氏が登壇し、説明した。「TCP/IPは有線を前提に設計されていて、無線には向かない。そこで、無線を前提としたプロトコルを開発した」。Tbridgeは無線LAN環境でもパケットロスがないことに加え、ユーザーの環境によっては速度が20倍に向上するケースもあるという。

 最後に主催者講演として、週刊BCNの編集長、畔上文昭が「IaaS/PaaSの現在地」と題し、市場動向を紹介した。

 休憩時間とセッション終了後に名刺交換会を実施。講演者と参加者、また参加者同士の情報交換で盛り上がった。なお、週刊BCNは今後も「ITトレンドセミナー」シリーズを全国主要都市で開催することを予定している。
 
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九州全域から多くのSIer、リセラーが参加。出展社に積極的に質問していた