【上海発】中国政府がインターネットサービスの取り締まりを強化する通知を出したことを受けて、現地の日系企業の間で波紋が広がっている。自社への影響を心配するユーザー企業も多く、ITベンダーへの問い合わせが殺到している。

 中国工業和信息化部(工信部)は1月22日、「関于清理規範互聯網網絡接入服務市場的通知」を発表した。「インターネット産業の健全な発展を促す」ため、当局の認可を得ていないインターネットサービスの取り締まりを強化する。強化期間は2018年3月31日まで。具体的には、インターネットデータセンター(IDC)事業、インターネット接続サービス(ISP)事業、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)事業について、無許可営業や越権営業に加え、「層層転貸(名義貸し)」とみなす違法行為を取り締まる。中国と海外を結ぶ越境VPNも対象となる。

 中国では、当局による規制によって、一般回線ではFacebook、Twitter、Googleなど、海外で普及している特定のサービスを利用することができない。そのため、中国で生活する外国人インターネットユーザーの多くは、VPNを経由してこれらサービスにアクセスしている。現地の日系企業においても、日中間のインターネット高速化などを目的に、VPNサービスを利用しているケースは少なくない。

 今回、国内外の総合メディアが「VPN接続を許可制に」などと大々的に報じたことで、自社への影響を不安視する日系ユーザー企業から問い合わせが急増したかたちだ。あるITベンダーでは、顧客向けに緊急のお知らせを配信。「中国政府からの正式なライセンスを取得しており、当局が提示する運営規則に従っているため、問題なく継続して利用できる」とした。

 VPNサービスの提供には、以前から中国当局によるライセンスの取得が必要だが、運用方法が曖昧だった。そのため、規制をかいくぐって提供している事業者もなかにはある。違法行為とみなされれば、サービス提供の見直しを迫られることになる。

 ただし、中国当局による通知が突如行われたため、ITベンダー側も内容をすべて把握できているわけではなく、自社ビジネスや顧客への影響について現在、詳細の情報収集を行っている段階だ。また、今回の取り締まり強化は、VPNだけでなく、IDC、ISP、CDNと「増値電信業務経営許可証」全般に関わる内容であることから、グレーゾーンの枠組みでクラウドなどの関連サービスを提供している事業者も注意深く動向を観察する必要がある。

 なお、「関于清理規範互聯網網絡接入服務市場的通知」 で全文を確認できる。(上海支局 真鍋武)