中国人経営者による中堅・中小SIerで組織する華人IT企業信用協会(金万哲会長=多言語システム研究所代表取締役)は、会員企業の信用力向上に向けて取り組んでいる。仕事上の苦情やトラブル情報をデータベース化し、再発防止に役立てることを目的としている。商慣習の違いなどが原因で、「せっかく日本で起業してもユーザー企業と行き違いを起こしたり、トラブルになってしまう」(金会長)ケースが散見されてきた。そこで、金会長らが中心となってソーシャルメディア上で苦情情報を集め始めたのが、協会活動の発端である。

 ソーシャルメディア上での活動は、2014年頃から始まっており、これまで日本国内に約600社あるとみられている中国人経営者によるSIerのうち、約半数が同活動に何らかの形で参加してきた。お互いに苦情やトラブルの具体的な情報を持ち寄って、助言し合ったり、再発防止に努める活動を続けるなかで、「相互の信用を高め合えるよう、もっとしっかりとした仕組みをつくろう」(全虎男副会長=ウィッツテクノロジー代表取締役)ということになり、16年7月に華人IT企業信用協会を設立。会員企業の信用の相互補完を活動の柱とした協会の立ち上げに至った。
 
201704111136_1.jpg
金万哲会長(左)と全虎男副会長

 協会設立からはまだ日が浅いことから、正式に協会に加盟しているのは48社。ソーシャルメディアには300社近い会社が参加していることから、「順次、正会員の数を増やしていき、良質で信頼性の高い情報サービスを提供できるよう相互補完していきたい」と金会長は話している。

 日本に中国人経営者のSIerが多く存在するのは、日本から中国にソフトウェア開発を発注するオフショア開発が盛んに行われていたことが背景に挙げられる。近年では中国の人件費の高騰でスローダウンしているが、それでも中国の一部地方都市では依然として日本向けのオフショア開発を積極的に手がけている。中国人経営者らは、こうした日中情報サービスの結びつきの太さからビジネスチャンスをつかんで起業したケースが多いという。

 昨今は、中国から日本を含む世界市場に進出したいと考える中国企業が急増しており、日本にいる中国人経営者は、こうした「日本進出を目指す中国企業のよきビジネスパートナーになり得る」(全副会長)とみている。また、協会に関わる会社の多くが中堅・中小規模のSIerであることから、日本の大手SIerから受注する、いわゆる同業者間取引のニーズもある。

 協会では信用力を高める活動に加えて、案件情報の交換や商材・技術の展示会の開催、労務・税務研修会、融資対策、親睦会などを幅広く手がけていくことで、中国人経営者によるSIerの競争力や経営品質の向上に取り組んでいく方針だ。(安藤章司)