NTTデータ(岩本敏男社長)は、7月1日付でグローバルビジネスの推進・管理体制を強化した。新たに「中国・APAC事業本部」を設置し、グローバル事業本部から中国・APAC地域のビジネスを移管。さらに、役員の業務分掌について、中国・APAC分野と、日本国内の公共・社会基盤分野、金融分野、法人・ソリューション分野の既存3分野を跨って所掌する「日本・アジアリージョン」を設け、4分野を連携させて組織運営する。安地亮一・グループ経営企画本部経営企画統括部長は、「歴史的な組織機構の変更だ」と説明する。(上海支局 真鍋 武)

 NTTデータでは、2018年度(19年3月期)までの中期経営計画で「グローバル第2ステージ」を掲げ、連結売上高2兆円、海外売上比率50%を目指している。戦略の一環として、各国のITサービス市場でシェア2%、上位10社入りを一つの指標に置き、ローカルプレゼンス向上に注力。欧米地域では着実にプレゼンスを向上しており、16年度にはDell Services部門を買収した。海外売上比率は今年度に44%程度となる見通しで、「グローバル第2ステージ」の目標達成は射程に入る。
 
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安地亮一
グループ経営企画本部 
経営企画統括部長

 ただし、中国・APAC地域でのビジネス拡大は、欧米と比べて後れをとっている。中国では、対日オフショア開発を中心に展開してきたため、ローカルビジネスはまだ大きく育っていない。APAC地域では、M&Aを積極的に推進しているが、買収する企業も、現地のITサービス市場自体も規模が小さい。現時点で、NTTデータの中国・APAC地域売上高は1000億円未満とみられる。一方、市場は急速に成長しており、今後の開拓余地は大きい。安地統括部長は、「ビジネスは伸びてはいるものの、まだまだやれることはたくさんある」とみる。そこで、今回の体制強化によって、「中国・APAC地域を日本と同じ主戦場として捉え、本格的にビジネスを伸ばしていく」(同)。

 新体制下での具体的な運営方法は今後確立していくが、各分野で責任者が分かれていた以前と異なり、所掌役員が1人になることで、「より戦略に一貫性をもたせ、全社で取り組むことができるようになる」(安地統括部長)。人員やノウハウ、投資などのリソース配分も最適化する。「日本・アジアリージョン」は、本間洋・代表取締役副社長執行役員が全体を所掌。また、中国・APAC分野担当と親和性の高い法人・ソリューション分野担当を山口重樹・取締役常務執行役員が兼務する。

 中国・APAC地域では、地場企業の開拓はもちろんだが、現地に進出する日系企業やグローバル企業のサポートが重要な要素であるため、日本と連携する意義は大きい。NTT DATA Asia Pacificの佐藤哲President and CEOは、「日系企業向けの提案で本社と連携したり、日本で提供しているシステムやサービスなどの強みをもちこんだりしていく。本来、協力していれば提案できたかもしれない案件や、あまり検討していなかった日本の強みなどをAPAC地域で創出できる」と期待している。一方、中国で力を入れているドイツの自動車メーカーなど、重点顧客に据える19社のグローバルアカウントについては、本社機構に格上げしたグローバル横断機能をもつ新設の「グローバルマーケティング本部」と連携し、強固にサポートしていく方針だ。

 今回の組織変更は、「日本と海外」という棲み分けから「日本を含むアジア」へと発展する点で、次の「グローバル第3ステージ」に向けた布石となる。同戦略では、目指すべき姿として、日本・アジア地域で40%、北米地域で30%、EMEA・中南米地域で30%の売上構成比をイメージしている。