IDC中国(霍錦潔総裁)が発表した中国セキュリティ市場予測によると、ソフトウェア、ハードウェア、サービスを含む2017年の中国セキュリティ関連支出総額は230億1000万元に達する見込みだ。21年の市場規模は657億2000万元で、17年から21年の年平均成長率は23.4%。同社では、「『中華人民共和国網絡安全法(中国サイバーセキュリティ法)』の正式な実施は、中国のサイバーセキュリティ市場が新たな段階に突入する標だ」と指摘している。

 同法は今年6月1日に正式に施行された。これに伴い、中国政府はサイバーセキュリティに関する政策法規を続々と打ち出しており、今後、企業ユーザーに対するセキュリティ体制の監視が強まる。現状、中国企業のICT全体投資に占めるセキュリティ投資の比率は世界の平均水準に及ばないが、IDC中国では、「企業のIT投資全体に占めるセキュリティの割合が明確に高まる」と分析している。

 このことは、IT企業にとって新たな商機につながる。中国系はもちろんだが、日系ITベンダーでも、すでに「サイバーセキュリティ法」の対策コンサルティングをユーザーに訴求する企業が増えている。

 人材市場も動き始めた。人材サービスを手がける智聯招聘が360互聯網安全中心と共同で発表した「サイバーセキュリティ人材市場状況研究報告」によれば、今年上半期のサイバーセキュリティ人材の募集人数は前年同期比で232%伸びた。とくに、大都市の北京、上海、深セン、成都、広州での募集が多い。

 その一方で、人材の供給量は不足している。同研究報告によれば、関連人材の希望する平均月給が7533元なのに対し、企業が提供する平均報酬は月9391元と高水準にある。また、中国メディアの報道によれば、上海交通大学の伍軍・副教授は、「22年のサイバーセキュリティ人材の供給不足は、全国で100万人超の規模に膨らむ見通し」と指摘している。(真鍋 武)