次世代IT技術などを通じ強国築く

【北京発】中国共産党の第19回全国代表大会が10月18日から24日、北京の人民大会堂で開催された。約8900万人あまりの党員のなかから、全国の代表として約2300人が出席し、党規約の改正など重要事項を決定したほか、200人の中央委員を新たに選出。初日の開幕式で党中央委員会報告(政治報告)を行った習近平総書記(国家主席)は、中国が「新時代」に突入したとして、21世紀半ばまでに「社会主義の現代化強国に築き上げる」という新たな国家目標を打ち出した。(上海支局 真鍋 武)

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開幕式には、胡錦濤・前総書記、江沢民・元総書記も出席し、
習氏の両脇に着席。報告の後、習氏は両氏と2度の握手を交わした

 政治報告で習氏は1期目の5年間を振り返り、世界経済の停滞や局地的な紛争・情勢不安、中国の「新常態(ニューノーマル)」突入など、「平凡でない5年だった」と前置きしつつ、「歴史的な変革を起こした」と成果を強調した。具体例として、国内総生産(GDP)を54兆元から80兆元近くに拡大し、世界第2位の経済大国として地位を確立したことや、改革の全面的な深化、法にもとづく国家統治の推進、人民の生活改善、軍事体制の強化、党内の反腐敗の徹底などを挙げた。IT分野も顕著に伸びており、工業和信息化部(工信部)によれば、中国ソフトウェア・情報技術サービス産業の規模は過去5年間で約94%拡大し、2016年は4兆8511億元となっている。

 そのうえで習氏は、「長期にわたる努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った。これはわが国の発展の新たな歴史的位置づけである」と宣言。中国共産党が創立100周年を迎える21年までに、「小康社会(ややゆとりのある社会)」を全面的に完成させ、これを土台に2段階にわけた長期的な目標を達成する方針を初めて掲げた。

 第一段階では、20年から35年までに「社会主義の現代化を基本的に実現する」。経済力・科学技術力で上位レベルの国家に上り詰める、人民の平等・権利の保障、都市・農村間および地域間の格差縮小、生態環境の根本的改善を進める。

 第二段階では、35年から中国が建国100周年を迎える今世紀半ばまでに、「富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代強国に築き上げる」。習氏は、「トップレベルの総合国力と国際影響力で世界をリードする国となる」と意気込んだ。

 実現にあたっては、製造強国に向けた取り組みの加速や、中間・高所得層の消費拡大、シェアリングエコノミーの発展などを推進。次世代IT技術を重視し、インターネット、ビッグデータ、人工知能(AI)と実体経済との高度な融合を促すなどして、新たな原動力を形成する。すでに中国国務院は、15年に「互聯網+行動計画」「ビッグデータ発展促進行動要綱」、17年には「新一代人工智能発展計画(次世代AI発展計画)」を発表。「次世代AI発展計画」では、30年までにAI関連産業規模を10兆元にする野心的な目標を掲げている。
 
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習近平総書記は中国の「新時代」入りを繰り返し強調。党中央委員会報告は異例の3時間半におよんだ

 また、全面的な市場開放を促進する方針を示した。習氏は、「開放は進歩をもたらし、閉鎖は遅れを招く」として、「外商投資の合法的権益を保護する。わが国の域内で登記したあらゆる企業を同一に扱い、その待遇を平等にする」と述べた。

 その一方で、経済活動に対する党の介入や統制は強化する。習氏は、「全活動に対する党の指導を堅持する」と強調した。中国では、3人以上の党員を有する企業、農村、学校などの単位で党組織の設置が求られている。外資企業もその対象で、大会期間中に記者会見した斉玉・中共中央組織部副部長によれば、すでに「10万6000社ある外資企業の70%が党組織を設けた」という。最近では、上場企業で党の経営への介入を認める定款の変更が相次いでいるほか、新興のインターネット企業でも党組織を設ける動きが盛んだ。

 また、習氏は「インターネット総合ガバナンス体系を構築し、清朗なサイバー空間を築き上げる」とした。中国は、国家が独立してサイバー空間の管理を行い、他国からの干渉を受けないとする「インターネット主権」を提唱しており、今年6月にはネット統制を強化する「中華人民共和国網絡安全法(中国サイバーセキュリティ法)」が施行。9月には、同法に違反したとして、インターネット大手のテンセント、新浪、百度が罰金を科されている。

 日系を含む外資IT企業が、中国の“開放された市場”を開拓していくには、これら特有の制約を乗り越えねばならない。