「IBM Q」は17量子ビットから商用化

 次世代のコンピュータとして、量子コンピュータに注目が集まっている。これまでのコンピュータ(クラシカルコンピュータ)の計算能力が限界に近づいているとされるためだ。とくにAI(人工知能)が人間に近づくには、より多くの計算能力が必要になると予想されることから、量子コンピュータの実用化に対する期待は大きい。

 量子コンピュータは、「ゲート方式」と「アニーリング方式」という二つの方式が存在する。アニーリング方式は、カナダのD-Waveが商用化に成功している。一方で、ゲート方式は、IBMがリードしており、ネットワークから無償で利用可能な「IBM Q」を提供している。IBMは、ゲート方式を汎用性が高いとして、汎用量子コンピュータと呼んでいる。

 IBM Qで無償提供されるのは、5量子ビットから16量子ビットまで。次世代型として、新しいアーキテクチャを採用した17量子ビットのIBM Qは、有償での提供が予定されている。
 
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米IBM Researchの
ロバート・スートル・
バイスプレジデント

 「2020年頃から、量子コンピュータはクラシカルコンピュータでは解決できなかった計算を担うようになる。そうなると、企業が量子コンピュータを使いだすようになる」と、米IBM Researchで量子コンピュータを担当するロバート・スートル・バイスプレジデントは説明する。現時点の課題としては、量子ビットの数が少ない、エラーの発生率が高い、コヒーレンス(量子状態)タイムが短いがあげられる。本格的な商用サービスを展開するにあたり、50量子ビット、エラー発生率ゼロを目指すという。

 また、量子コンピュータの活用方法について、スートル・バイスプレジデントは「すべてが量子コンピュータに代わるのではなく、クラシカルコンピュータと一緒に、ハイブリッド環境で利用される。クラシカルコンピュータが得意とする分野は多い。また、量子コンピュータでは、クラシカルコンピュータとは異なる技術が要求される。どう利用するかは、これから考えていかなければならない」としている。

 IBMが現在無償で提供している16量子ビットのIBM Qで処理できることは、クラシカルコンピュータでも対応できるレベルだという。それでも、これまで約5400人が使用し、100万件以上の演算が処理されたとのこと。まだ手探りの状態とはいえ、関心の高さをうかがうことができる。(畔上文昭)