週刊BCNは3月16日、「業界の“今”がわかる!有力商材が見つかる!SIer・リセラーのためのITトレンドセミナー」と題し、SIerとリセラー向けのセミナーを福岡県Ruby・コンテンツ産業センターで開催。基調講演のほか、全国展開に注力するベンダーが商材とパートナー戦略を紹介した。

 基調講演は、一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏。「米自動運転車開発とIT産業の変貌 ~デジタルトランスフォーメーションの時代~」と題し、自動運転車開発の現状やIT産業の役割などを紹介した。
 
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一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏

 森氏は冒頭、自動運転車の定義と現状を紹介。自動運転車の技術が実用レベルに到達しようとしているなかで、「自動運転車の開発は、コンピュータのバトル」であるとし、IT産業の役割が重要だと説明した。例えば、自動運転車は多くのセンサを搭載しているため、その処理にはIoT分野でのノウハウが生きてくる。センサから得た情報を自動運転車自体、つまりエッジ側でデータを処理し、サーバーにデータを渡すといった流れは、製造業で活用されているIoTそのものである。「自動運転車は、ITと機械のデジタルトランスフォーメーション(DX)であり、自動車産業に大変革をもたらす。この技術は、他の産業にも横展開できる。インダストリ4.0を超えるのではないか」と、森氏は自動運転車が多くの産業に変革をもたらすと解説した。

 一方で、IT産業には意識改革が必要とも。「IT産業は、コンピュータだけでなく、多様な機器を相手にしなければいけない。そうしたノウハウが求められる仕事も増えていく。そこで活躍できるかどうかが求められるような時期に差し掛かっている」と森氏。セミナー参加者に意識改革の必要性を訴え、講演を締めくくった。

 セッション1では、ラリタン・ジャパン カントリーディレクターの竹永光宏氏が登壇。「進化したインテリジェントPDUの活用シーンと今でも使えるKVMスイッチによるリモートアクセスのつぼ」と題し、事例を交えながら、同社製品が選ばれる理由を紹介した。

 ラリタンのインテリジェントなラック電源管理ソリューション(インテリジェントPDU)は、業界随一の計測精度とアウトレット制御を実現でき、データセンターやサーバールームの電力負荷最適化に欠かせない商材として注目されている。「インテリジェントPDUは、サーバーの電力消費量の把握や、リモートでの電源オン/オフなどができる。現場に行く必要がないため、管理負荷の軽減に大きく貢献する」と竹永氏。データセンターのほか、支店のシステムを本部でリモート制御するといったケースにも活用されているという。また、複数サーバーの管理で定評のあるKVMスイッチについては、「OSがダウンしていても、リモートでメンテナンスができる。いろいろなデバイスに対応していて、Javaを不要な環境にしたことが評価されている」と、竹永氏は業界最高技術水準が強みであるとアピールした。

 セッション2では、NTTデータ ウェーブ営業部グループ長の竹内 剛氏が登壇。「旅費/経費精算・ワークフローソリューション『WAVE225』が経営課題解決に大きく貢献」と題し、WAVE225が必要とされている背景や、パートナー募集の経緯などを紹介した。

 働き方改革に代表されるように、多くの企業は業務の効率化に取り組んでいる。ただ、社外と接するビジネスに関しては、相手の都合もあるため、簡単には効率化できない。一方、「自社内の管理プロセスは、効率化しやすく、効果が出やすい。なかでも、交通費精算や稟議申請のプロセスで現場の不満が出やすく、効率化を求める声は多い」と竹内氏。社内の申請業務における負荷を下げれば、現場は本業に注力することができる。NTTデータ ウェーブのWAVE225は、こうした視点で旅費や経費精算、ワークフローなどのプロセスを効率化し、働き方改革の取り組みを支援。稟議など、ユーザー固有の要件に対しては、ノンプログラムで画面を作成できる機能も提供する。また、WAVE225は、システム基盤として「intra-mart」を採用。システムの拡張性が高く、RPAやBIといった各種のツールとの連携が可能になっている。最後に竹内 氏は、「WAVE225は、日本全国から引き合いがある。ただ、当社のオフィスが東京ということもあって、すぐに対応できないケースがあり、ビジネスパートナーを求めている。九州の案件を一緒にやりたい」と参加者に訴えた。

 セッション3では、キングソフトのWPS事業部 ビジネスパートナー Div.ディレクター代行の高橋 満氏が登壇。「コスト削減のカギは、オフィスソフト選定にあり! ~定番からの脱却で見える化する「課題」と「解決策」~」と題し、オフィスソフト「WPS Office」を紹介した。

 WPS Officeは、定番のMicrosoft Officeとの高い互換性に加え、十分な機能と使い勝手のよさを低価格で提供することで支持されている。「オフィスソフトのリプレースにかかるコストを下げたいが、業務に欠かせない機能と操作性は譲れない。または、学生が使うPCを増設するためオフィスソフトが必要だが、少しでもコストを抑えて導入したい。こういった要望に応えるとして注目されているのが、オフィス互換ソフトである」と高橋氏は、WPS Officeが必要とされている理由を説明する。Microsoft Officeとの互換性においては、操作性がほぼ変わりなく直感的に使えるほか、VBAも利用できる。また、WPS Officeは「教育現場では、生徒にクリエイティブな環境を提供できるとして、WPS Officeのフォントが評価されている」とし、学校などの文教系での導入が進んでいるという。WPS Officeでは35書体が用意されている。高橋氏は最後に「当社はサポートセンターを完備しており、パートナーにはトライアルライセンスも提供している。提案時は同行訪問もしており、一緒に市場を盛り上げていきたい」とアピールした。

 セッション4では、arcserve Japan チャネルマーケティング部部長の末吉聡子氏が登壇。「仮想化、HCI環境でも84%バックアップデータを削減できるバックアップアプライアンスとは?!」と題し、「Arcserve UDP Appliance」を紹介した。

 arcserveは、バックアップ関連のソリューションを22年間販売しており、20万ライセンスの実績を誇る。主に大規模システムをターゲットとしてきた同社だが、中規模システム向けにバックアップアプライアンス「UDP8000シリーズ」の提供を開始して約2年。UDP8000シリーズの主な特徴は、アプライアンスモデルのため、導入後すぐに利用できること。サイジングが不要で、重複排除機能も搭載。複雑なデータ保護環境でも、シンプルにバックアップできるため、ランサムウェア対策などに最適。メイド・イン・ジャパンの製品という信頼性。そして、「ライセンスフリーで使いたい放題。物理環境や仮想環境、OS、サーバー、PCなどに関係なく、入るだけ入れていい」と、末吉氏は費用面もアピールした。バックアップ機能に関しては、初回のみフルバックアップで、その後は差分バックアップによって使用容量を減らしたり、重複排除や圧縮によってバックアップ容量を減らしたりするなどの特徴がある。「バックアップデータを94%削減した事例もある」(末吉氏)という。なお、UDP8000シリーズは、ダイワボウ情報システム(DIS)が販売を手がけていて、問い合わせも同社が窓口になる。

 セッション5では、キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部ゲートウェイセキュリティ企画本部技術開発部セキュリティリサーチャーの西浦真一氏が登壇。「最新のセキュリティ脅威動向と、多層防御を実現するフレームワーク」と題し、セキュリティ動向と同社が扱うソリューションについて説明した。

 サイバーセキュリティの脅威は巧妙化・高度化しており、従来は技術力の誇示だったものが、近年では金銭獲得へと目的も大きく変わってきている。金銭目的でターゲットとなるのは、機密情報やPCの捜査権限といった現金化できるもの、またはオンラインバンキングの口座情報など。西浦氏は「いずれもぜい弱性を悪用している。多くの被害をもたらせたランサムウェアのWannaCryでは、パッチをあてていないPCが狙われた。また、特定の企業向けに作成したマルウェアや、バックドアをつくってすぐに消えるマルウェアのように、検知が難しいものもある。100%防ぐのは難しい。侵入を想定した対応が必要だ」と語った。有効なのは、入口対策と内部対策、出口対策の「多層防御」だが、投資額が有限であることから、費用対効果を考慮した対策が求められる。そこでは、(守る資産の)特定、防御、検知、対応、復旧という五つの観点で考えることが重要だという。最後に西浦氏は、「当社はセキュリティ対策製品のディストリビュータと、SIerの経験を生かして、多くのセキュリティ製品を提供している。セキュリティに関することは、まず当社に問い合わせていただきたい」とアピールした。
 
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福岡市のほか県外からの参加者もいて、セミナーは大いに盛り上がった

 最後に主催者講演として、週刊BCN編集委員の畔上文昭が「2018年のIT動向と『ポスト2020』~量子コンピュータ時代がすぐそこに!?~」と題し、東京五輪後を意味するポスト2020に向けた取り組みや量子コンピュータなどのトレンドを紹介した。

 休憩時間とセッション終了後に名刺交換会を実施。講演者と参加者、また参加者同士の情報交換で盛り上がった。なお、週刊BCNは今後も「ITトレンドセミナー」シリーズを全国主要都市で開催していく予定である。