週刊BCNは9月7日、横浜市内で「業界の“今”がわかる!有力商材が見つかる!SIer・リセラーのためのITトレンドセミナー」を開いた。オフィスソフト、セキュリティーソリューションの注目ベンダーが最新商材、パートナープログラムを紹介するとともに、識者がIT市場の新興テクノロジーや市場トレンドを解説した。

 基調講演には、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)研究部長/教授/主幹研究員である高木聡一郎氏が登壇し、「ブロックチェーンのビジネスモデル:その理想と現実」について解説した。

 高木氏はまず、ブロックチェーンについて「特定の信頼される主体に依存せずに情報の信頼性を担保する仕組みであり、情報だけでなくロジックを共有することができる。それはつまりコンピュータソフトウェアが動作するプラットフォームとしても機能するということ」と説明。その革新性については、「従来のビジネスの前提である“主体”や“組織”の存在に疑問を投げかけるからこそディスラプティブな技術だが、それが企業がビジネスに活用しようとするときに難しい要因でもある」との見解を示した。

 一方で、ブロックチェーンは革新的ではあるが万能ではないとも指摘。「ブロックチェーン活用のポイントは、『特定の組織を超えて何かをやらなければいけない場合』に使うこと」と説明した。高木氏はその事例として、アリババの電子決済サービス「アリペイ」とフィリピンの大手通信会社グローブ・テレコム傘下企業が運営する電子マネーサービス「Gキャッシュ」間での送金にブロックチェーンを活用して本番運用を開始していることなどを紹介。組織を越えたIoTネットワークの構築やお金のトレーサビリティーの確保などでも有効活用の道があることにも言及し、「企業にとっては、組織を越えつつ、いかにエコシステムをデザインして広げていくかが重要になる」とまとめた。
 
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)研究部長
/教授/主幹研究員の高木聡一郎氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー Div.の高橋万里生氏が、「コスト削減のカギは、オフィスソフト選定にあり!~定番からの脱却で見える化する『課題』と『解決策』~」と題してプレゼンした。

 同社は「Microsoft Office」の互換ソフトとして開発・販売してきた「KINGSOFT Office」を2016年に「WPS Office」にリブランドした。高橋氏は、WPS Officeの特徴として、「操作性と見た目、保存形式などあらゆる面でほとんどMicrosoft Officeと同じ。そしてコストパフォーマンスで圧倒的な差別化ができることが大きな特徴」と説明。また、働き方改革のニーズに応えたマルチデバイス対応や、Microsoft Officeと同一のAPIを採用したVBA対応などもWPS Officeの強みとして紹介した。

 国内では、文教市場での採用が特に多いというが、一般企業の各業種や公共機関なども含めて、組織規模を問わず幅広く利用されていることも紹介。「WPS Officeは新規クライアント創出のためのドアノックツールとして有効であり、競合製品に比べてコストを軽減できることから、その分のコストを他商材の提案に充てることで販売代理店にとってはビジネスの拡大につながる」とアピールした。
 
キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー Div.の高橋万里生氏

 セッション2では、「メールセキュリティ最前線! 業界最高レベルの検知率を誇るProofpointのご紹介と導入事例」と題して、日本プルーフポイント チャネル営業部部長の長濱敏行氏、テクマトリックス セキュリティ営業部主任の硲公志氏が講演した。

 米プルーフポイントは2002年設立のメールセキュリティー専業ベンダー。同社は2005年に日本プルーフポイントを設立している。長濱氏は、「フォーチュン100企業の60%以上が顧客で、6000社以上の導入実績がある。Eメール・セキュリティー市場全体でのシェアはグローバルで2位。SaaS型のEメール・セキュリティーサービスに限ってはシェア25%で断トツであり、シェアの伸びも年間36%ほどと高い水準を示している」とグローバル市場における実績と成長性を強調した。

 ディストリビューターのテクマトリックスは同社の一次代理店として活動しており、硲氏はプルーフポイント製品「Targeted Attack Protection(TAP)」の導入事例を紹介した。TAPは、添付ファイルサンドボックスとURLサンドボックスから成る未知の攻撃をブロックするための製品だ。「スパムメールのすり抜けが多く困っているというお客様に対して、プルーフポイント独自のスパムエンジンによる高精度なメールセキュリティーを提供し、結果的にすり抜けが大幅に減って、運用管理者から評価が高かった」という。また硲氏は、リセラーに対してはテクマトリックスが営業から構築、保守、運用まで幅広い支援サービスを提供していることも説明し、プルーフポイント製品を担ぐリセラーにとっては売りやすい環境が整っていることをアピールした。
 
日本プルーフポイント チャネル営業部部長の長濱敏行氏

テクマトリックス セキュリティ営業部主任の硲公志氏

 セッション3に登壇したブレインズスクエア日本支社長の藤田孝広氏は、「VDI/シンクライアント環境でなくても実現できる情報漏洩防止対策」をテーマにプレゼンした。

 ブレインズスクエアは、2000年3月に韓国で設立された総合セキュリティーソリューションベンダーで、「機密データの漏えい対策」に特化した製品を展開している。藤田氏は、「外部からの不正アクセスに対しては多くの企業が対策を行ってきたが、内部からの情報漏えいの脅威については近年ようやく関心が高まってきた段階」と現状を分析。その上で、内部脅威に対する一般的な対策方法としてはDLPやE-DRM、VDIなどが導入されることが多いが、コストや効果、使い勝手の面で課題も大きいことを指摘した。

 これらの課題に対して、藤田氏は同社の「SECUDRIVE File Centralization」が有効な解決策になり得るとアピールした。同製品は、PC端末にデータを残さず、デスクトップにあるファイルを社内のストレージやサーバーに強制移行して一元管理できるソリューションだ。ファイルの管理はデータ移行先のサーバーなどにフォルダーをつくって行い、ユーザー権限を細かく管理することができるという。これにより、「ファイルのコピー、印刷、キャプチャーなどにより機密データが漏えいするリスクを低減する」と、藤田氏は説明する。低コストで効果的な内部漏えい対策を実現できる商材として、「日本国内でも大きなビジネスチャンスがある」(藤田氏)として、販売代理店を広く募集していく方針を示した。
 
ブレインズスクエア日本支社長の藤田孝広氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、エンタープライズITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報をもとに解説した。