日立システムズ(北野昌宏社長)は10月5日、東京大学宇宙線研究所(梶田隆章所長)などが32カ国の研究機関とともに参画している国際共同プロジェクト「CTA(Cherenkov Telescope Array)計画」で建設している大型ガンマ線望遠鏡向けに、データセンターの構築・運用技術を応用した特殊な電源システムを納入し、10月から本番稼働を開始すると発表した。

 CTA計画は、宇宙空間の約25%を満たすといわれる暗黒物質やブラックホールの謎を解明するため、従来装置の10倍以上の感度と広い光子エネルギー領域の観測が可能なガンマ線天文台の建設を目指す国際共同プロジェクト。世界32カ国、約1200人の研究者が参画。日本からはノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章教授が所長を務める東京大学宇宙線研究所などが参画している。

 今回、日立システムズでは、CTA計画に貢献するため、関連会社のPowerware Systems Sdn Bhd(本社・マレーシア)との連携により、データセンターの構築・運用技術を応用して、UPS(無停電電源装置)とフライホイールバッテリーを組み合わせたコンテナ型の特殊な電源システムを構築し、スペイン領のカナリア諸島ラ・パルマ島のガンマ線天文台に納入した。

 通常、UPSのバッテリーには鉛蓄電池が利用されるが、標高2200mにあるガンマ線天文台に設置する際の安全面や環境面への配慮から、保守性が高くエコで省スペース化も可能なフライホイールバッテリーを活用したいという東京大学宇宙線研究所の要望を踏まえ、フライホイールバッテリーを採用した。また、コンテナの内部にはUPS、フライホイールバッテリーに加え、精密空調機、IoT技術を活用したリモート設備監視設備を搭載しており、安定稼働を支援する仕組みを整えた。

 これにより、通常時は低電力を安定供給するとともに、蓄電し続けることで、「ガンマ線バースト」が発生した際に、わずか10秒程度で到来方向に回転させるための大容量電力を供給する世界初の電源システムを構築。「ガンマ線バースト」の観測に向けて大きな課題となっていた電源問題を解決した。

 今後、日立システムズは、ラ・パルマ島のガンマ線天文台に納入した電源システムについて保守業務を担当するほか、2020年にチリのパラナルで建設が予定されているガンマ線天文台向けにも同電源システムを提案し、宇宙のはじまりを解き明かすプロジェクトであるCTA計画を支援していく予定。