全国高等専門学校第29回プログラミングコンテスト(高専プロコン)の本選が10月27日、28日に徳島市のアスティとくしまで開催された。予選を通過した課題部門20チーム、自由部門20チーム、競技部門59チームに加え、海外7カ国8チームが挑んだ。主管校は地元・阿南市の阿南工業高等専門学校。大会テーマは徳島の方言を取り入れた「ITの未来はここにあるでないで(あるじゃないか)!」が掲げられた。(取材・文/山下彰子)

アスティとくしまで開催された「第29回高専プロコン」

 高専プロコンは、高専の学生たちが日頃の学習成果を生かしてIT分野のアイデアと実現力を競う場だ。与えられた課題に従って作品を作る「課題部門」、自由なテーマで独創的な作品を作る「自由部門」、与えられたルールの下でチーム同士が戦う「競技部門」がある。今回は168チームの応募があった。

 各部門の最優秀チームには文部科学大臣賞をはじめ、最優秀賞、情報処理学会若手奨励賞が贈られるほか、来年1月18日にBCNが開催する「BCN ITジュニア賞2019表彰式」に受賞者として招待される。
 

地域貢献をテーマにした課題部門

 課題部門のテーマは、「地域貢献」を目的にした「ICTを活用した地域活性化」が出題された。地域が抱えるさまざまな課題を高専生ならではの切り口と独創的なアイデアで解決することが求められた。

 最優秀賞は、鳥羽商船高等専門学校(鳥羽商船)が開発した「AKAMOKU ―水中カメラとドローンによるアカモクの資源管理―」だ。三重県で新たな水産業の柱として注目されている藻「アカモク」をドローンと360度撮影可能な水中カメラを用いて管理。さらに、収穫過多による資源の枯渇を回避することができる。
 
鳥羽商船の「AKAMOKU」

発想の柔軟さが重要な自由部門

 自由部門は、予選を通過した20作品に加えてマレーシア、タイ、台湾、シンガポールから応募があった4作品も本選に参加した。

 最優秀賞は、香川高等専門学校詫間キャンパスが開発した「わあるど ―Wakka! Re learn&Discovery―」。地域や世代間のつながりを強化するために開発したシステムで、参加者同士が手をつなぐことで交流を深めることができる。上部に設置した「Kinect」で手をつないだ時の頭部の位置や手の接続状態を検出。形や高低差を計測してアプリケーションに入力する。会場では同システムに加えて協力・対戦するアプリケーションを用意し、楽しく体感できるよう工夫した。
 
香川 詫間の「わあるど」

高専プロコンの華、競技部門

 直接対決により勝敗を決める競技部門は、参加者も見学者も熱が入る。3年連続でパズルゲームが行われたが、今年はマス目に区切られたフィールド上でいかに多くの陣地を占有できるかを競う陣取りゲームに変更した。

 チームは司令塔1人とエージェント2人で構成し、試合はターン制で行う。司令塔からの指示を受け、各チームのエージェントが同時に次に行う行動を表示し、タイルを進める。将棋やオセロのようだが、マス目にはプラス16点からマイナス16点の点数が振られている。タイルで囲い込むとその中のポイントが加算されるほか、マイナス点がプラス点に変わる独特なルールで、非常に難解だ。優勝したのは仙台高等専門学校名取キャンパスのチーム「高橋n段」。効率的に点差を広げていく指示や、不利な状況から逆転する指示を組み込んだという。
 
仙台高専の名取キャンパス(青)と 東京高専(赤)の決勝

審査員の評価と今後の課題

 高専プロコンは、企業や大学など、幅広い分野の専門家が審査員を務める。自由部門を審査した東芝デジタルソリューションズの泉泰一郎・ICTインフラサービスセンター参事は「AIを採用した作品が多かった。アイデアやコンセプトが独創的で、大人では考えつかない作品が多かった」と評価した。
 
東芝デジタルソリューションズ
泉 泰一郎
ICTインフラサービスセンター
参事

 課題点はプレゼンテーションだという。課題部門、自由部門ともプレゼンテーション、デモンストレーションも審査対象となる。「プログラミングの技術や能力のアピールが弱い。プレゼンの能力は社会に出てからも求められる。表現力を磨いてほしい」とエールを送った。