さくらインターネットの子会社で、システム運用監視サービスを提供するMSP(マネージドサービスプロバイダー)のアイティーエム(村上宗久社長)は、エンドポイントセキュリティ製品「AppGuard(アップガード)」の販売を強化している。施策の一つとして、2020年1月にサポートが終了するWindows 7のセキュリティ対策に向けた割引キャンペーンを4月から実施。「勝負は今年から」と、販売拡大への本気度を見せる。(前田幸慧)

“一度も破られたことがない”
エンドポイントセキュリティ

 AppGuardは、システムへの攻撃を未然に阻止し、端末を安全な状態に保つことに特化したエンドポイントセキュリティ製品。アプリケーションの起動場所を限定し、攻撃対象になりやすいアプリケーションをプロセス起動時に隔離して監視下に置き、レジストリの変更やメモリへのアクセス/書き込みなど、不正なプロセスやポリシー違反の動作を阻止する。定義ファイルを用いておらず常時ネットワーク接続や定期的なアップデートは不要で、マルウェアを検知する一般的なアンチウイルス製品とは異なるアプローチでエンドポイントを保護するのが特徴だ。

 AppGuardはもともと、米国の政府機関で長年利用されてきた製品で、「今までに一度も破られたことがない」ことを掲げている。17年4月にBlue Planet-works(ブループラネットワークス、中多広志代表取締役)が、開発元企業からAppGuard事業を買収し、事業展開を開始。同年4月と8月で計110億円の大型資金調達を果たしたことも話題となった。
 
アイティーエムの大友崇弘部長(右)とブループラネットワークスの丸山訓男執行役員

 事業開始から2年が経過し、ブループラネットワークスの丸山訓男・執行役員営業本部本部長は「最初の1年はどのような製品なのかということを社内でも理解し、それをかみ砕いてお客様にメッセージとして伝える、そこまでの取り組みで終わってしまい、きちんと営業ができるようになったのは昨年からというのが正直なところだ。ようやくお客様に理解していただける製品として紹介できるようになった。それと並行して製品の改修も丸2年をかけて進めてきた。日本市場でも自信を持って使っていただける製品になった」と振り返る。AppGuardは現在までの実積として「約500社15万ライセンスを発行」(丸山氏)。販売網を整えるなど、本格展開に向けて体制の整備を進めている。

 販売パートナーの1社であるアイティーエムは、昨年4月にAppGuardの提供を開始。販売に当たっては、専門部隊として「AppGuardサービス推進グループ」を立ち上げた。このグループを率いる大友崇弘・ソリューション営業本部AppGuardサービス推進グループ部長は、「昨年はイベントやセミナーを月1回ペースで開催した。今年に入ってようやく案件化の兆しが数社出てきており、今年は金融系のお客様も含めて何社かはフォーキャストに入っている。今年からが勝負。検証しているお客様は非常に多いので、今年から拡大していくのではないか」と期待を示し、拡販に向けて一層力を入れていくと語る。

Windows 7用のキャンペーンで
中小企業の導入を狙う

 AppGuardの拡販に向けた施策として打ち出したのが、AppGuardの「Windows 7延長サポート終了対策キャンペーン」だ。今年9月30日までの期間限定で、複数年契約かつ一括支払いの場合、AppGuardを契約年数に応じて最大40%引きで購入できる。具体的には、3年の一括支払い契約で35%引き、5年の一括支払い契約で40%引きとなり、例えば100ライセンスの場合、1ライセンス当たり通常1万1900円/年だったものを、3年契約で1ライセンス7735円/年、5年契約で同7140円/年の料金で購入できるようになる。

 来年1月14日にWindows 7の延長サポートが終了し、以降はマイクロソフトからのサポートが受けられなくなりセキュリティリスクが高まる。それに向けて現在、Windows 10への移行が加速しているが、アイティーエムの大友氏は、「さまざまな事情で、Windows 7をしばらく使わざるを得ない企業もある。こうしたお客様の声を聞き、AppGuardを端末に入れてもらえれば最低限のリスクヘッジはできるというプランを打ち出した」と説明する。

 マイクロソフトからは23年までの延命サポートが有償提供されているが、「Windows 7 Professional」と「Windows 7 Enterprise」のボリュームライセンスを利用している企業に限られるとともに、1年ごとに価格が上昇する。こうした背景からアイティーエムでは、「数十人から2000人規模くらいまで」(大友氏)の中堅・中小企業をターゲットとして、サポート終了後にも使い続ける場合のWindows 7のセキュリティ対策と、コストメリットを訴求していく。また、複数年での一括購入となるが、大友氏は「当初はWindows 7を使うが、2年後にはWindows 10に移行するといった場合にはそのライセンスをそのままお使いいただける。このキャンペーンを適用せずに購入していただくよりもかなり割安になる」という。また、一括での支払いが難しい場合にも、リース・レンタルを手掛けるパートナー企業があるため、「5年契約であれば60カ月に分割してお支払いいただくことも可能になる。そうすれば企業的には1年間の予算の中で消化できる」とアピールする。

 販売に際しては、アイティーエムの営業が既存顧客を中心にあたるほか、イベントなどで訴求していく。パートナーにも、顧客から要望があればこのキャンペーンを活用してもらう考えだ。キャンペーンの実施ではライセンス販売だけでなく、アイティーエムの付加価値といえる運用サービスの利用も提案していく方針。「ライセンスを出していくよりも、運用サービスの相談を受けることの方が多い。導入していただいた企業の中でも、実際に運用してみると今まで見えてなかったITガバナンスの問題が見えてきて、相談を受けるケースも増えている。そこに派生して他のセキュリティ対策に関しても提案させていただいたりと、(AppGuardは)良いフック商材にもなっている」と大友氏は強調する。

 また、ブループラネットワークスの丸山氏は、「われわれは新しい考え方の製品で、今までのお客様が慣れている製品とは動きが違うので、お客様が採用されたとしても漠然と不安を持たれることがある。そこをアイティーエムがみてくれるというのは非常に安心材料になるし、非常に頼りがいのあるパートナーだと思っている」と、アイティーエムの今後の製品販売に期待を示している。