南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」。あまりに大きく、空からではないとほとんどの地上絵の全体像が把握できないほとだ。このような大きな絵をどのように描いたのか、そもそもなぜ描いたのか、いまだに多くの謎が残っている。ナスカの地上絵は1994年にユネスコの世界文化遺産に指定されたが、その時点で確認されていたのは動物や植物などの地上絵が30点ほどだった。

ナスカの地上絵「ハチドリ」

 山形大学は、2004年から坂井正人教授を中心にナスカの地上絵の研究に取り組み始めた。18年までに実施した現地調査と高解像度三次元画像のデータ解析などにより人や動物など142点の地上絵を発見。これらの地上絵は主にナスカ台地の西部に分布しており、紀元前100~300年頃に描かれたと考えられている。

 しかし、地上絵の分布調査はいまだ不十分だ。特に市街地の拡大に伴って破壊が進み、社会問題となっている。山形大学は、リモートセンシングとAIを研究してきたIBMワトソン研究所と共同研究を実施するために学術協定を結んだ。

 18~19年に実証実験を実施。高解像度な空撮写真などの大容量のデータを高速に処理できるAIサーバー「IBM Power System AC922」上に構築されたディープ・ラーニング・プラットフォーム」「IBM Watson Machine Learning Community Edition」でAIモデルを開発し、新たな地上絵1点を発見した。
 
IBM Watson Machine Learning Community Editionによって発見した
地上絵

 今後は、同社の3次元時空間データを高速かつ効率的に解析するAIプラットフォーム「IBM PAIRS Geoscope(IBM PAIRS)」を活用し、地上絵の分布状況の把握を進め、現地調査に基づいた分布図を作成する予定だ。