日本IBMは9月13日、メインフレームの最新製品「z15」および、z15と同じハードウェアを用いたLinux専用機「Linux ONE III」を発表した。買収したレッドハットの「OpenShift」に対応し、クラウドネイティブなアプリケーションの実行をサポート。両製品をハイブリッドクラウド戦略の牽引役に位置付ける。

 「IBM Z」のブランドで提供される同社のメインフレーム製品は、長年培ってきた独自の基幹業務向けOSである「z/OS」だけでなく、Linuxやコンテナなどの技術を取り入れる形で進化を続けてきた。今回新たに対応したOpenShiftは、業界標準になりつつあるオープンソースのコンテナ管理技術・Kubernetesをベースとした商用のコンテナ環境。汎用のx86サーバーやパブリッククラウドとの間でアプリケーションの相互運用性を確保し、ベンダーロックインを防ぐことができる。

 IBMはオープンなハイブリッド/マルチクラウド環境の実現を事業戦略の中心に据えており、その中でZとLinux ONEは信頼性・可用性やデータセキュリティへの要求が最も高いワークロードを担当するシステムという位置付け。Z/Linux ONEのハードウェアでないと実現できない高度な信頼性や耐障害性を提供しながら、アプリケーションの開発・運用にはクラウドと共通のモダンな技術を用いることで、俊敏性も高めることができるとしている。また、きょう体を専用設計から標準的な19インチラックに変更し、データセンター内への設置を容易にした。

 加えて、新製品の目玉としているのがデータプライバシー機能の強化で、「量子コンピューターでも解読できない」とする高度なアルゴリズムで製品内に格納された全データを暗号化可能としたほか、データが外部にコピーされた場合も、元データのポリシーを変更することでコピー先を含めアクセス権を変更できる「Data Privacy Passports」機能を追加した。顧客から個人情報の使用中止を要求された場合などに、自社内のデータだけでなくクラウド上に複製されたデータに対しても一元的にアクセスを禁止できる。
 
山口明夫社長

 日本IBMの山口明夫社長は、「レッドハットと連携することで、プラットフォームフリーの環境の提供が可能になった」と述べ、今回の製品で従来のメインフレームの世界とクラウドの世界が融合し、顧客のハイブリッド/マルチクラウド化をさらに強力に支援できるようになると説明。メインフレームがデジタルトランスフォーメーションの足かせになることがないよう、Zを進化させるための研究開発投資を継続することも強調した。(日高 彰)