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セゾン情報システムズ、データ活用ビジネスに本格参入、取得から統合、整備の一連の工程を実現
2019/12/19 09:00
週刊BCN 2019年12月16日vol.1805掲載
データを「使う」ことを重視
データの有効活用が企業の競争力を高めると言われるが、いざ実践しようとするとさまざまな障壁が立ちはだかる。代表的な例がサイロ型のシステムにデータが分散して格納されてしまっているため、集めるだけで一苦労。データの形式が不揃いで活用するための準備に時間がとられてしまう。データベースを統一しようとすると予想以上に高い費用がかかるなどだ。そこで、セゾン情報システムズでは、データの収集から統合、活用するための準備までを一気通貫で行える「データマネジメントソリューション」のコンセプトを、この11月に打ち出した。同社の主力商材であるファイル転送・連携のHULFTやデータ連携のDataSpiderを活用しつつ、現時点で機能がまだ不足しているデータの識別、可視化、精度向上といった機能を複数年かけて拡張していく。
データの取得、連携などは現行のHULFTやDataSpiderで行えるが、データの可視化や品質や精度を高めるデータ整備の部分は、「新しく機能を拡張していく領域」(山本善久・取締役HULFT事業部長)だと位置付ける。データを「つなぐ」のがこれまでの事業領域だとすれば、これからはデータを「使う」ことをより重視していく。
新しく拡張していく領域では、データ形式の不揃いや重複を半自動で修正してデータ品質の向上。データ分析の専門家でなくても必要なデータセットを構成し、データ分析を行えるようにする。IoTセンサーなどのストリーミングデータのリアルタイム分析を支援するといったことをデータマネジメントのプラットフォーム上で実現していく。
データ活用の約8割が準備作業
とりわけデータ分析に要する時間の約8割が、データの形式の不揃いや重複を補う準備作業に費やされる傾向にあり、この部分をできる限り自動化、省力化することが「早く、品質よく、効率的なデータ分析に欠かせない」(野間英徳・HULFT事業部マーケティング部部長)と指摘。セゾン情報システムズでは、データの取得から統合、分析にかけられるようにするデータ整備の一連の工程をパッケージとして提供することで、個別SIで開発するより、格段に安く、早く実現できるようにしていく。HULFTやDataSpiderを中核とするデータマネジメントソリューションによって、データを活用できる段階まで持っていくとともに、外部の優れたデータ分析、活用のパッケージソフト、SaaS型サービスと連携させる。同社では、これを他社と連携するビジネスという文脈で「リンケージ・ビジネス」と呼ぶ。
例えば、データ分析ではデータビークルの「dataDiver」、BI(ビジネスインテリジェンス)の「Tableau(タブロー)」、財務管理の「Kyriba(キリバ)」、サイボウズの業務アプリ構築基盤の「kintone(キントーン)」、さらにはメジャーパブリッククラウドが揃えるAIなどのアプリケーションとの連携を可能にする。優れたツールとリンケージ(連携)することで、より効果的なデータ活用を行い、ユーザー企業の意思決定の迅速化や的確な経営判断を支援していく。
クラウド上のツールもフル活用
直近では、HULFTとAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の主要パブリッククラウドとのデータ連携を強化する「クラウドストレージオプション」を発表。既存のオンプレミス型のシステムと主要クラウドサービスと連携に際しては、「既存システムにおけるHULFTの使用感や設定のままクラウド側とのファイル転送を実現している」(山本取締役)。クラウドとの違いをHULFTが吸収するため、HULFTの運用者や技術者であれば既存システムかクラウドシステムかを意識せずに使えるのが特徴だ。データ活用の観点から見れば、AWSやAzure、GCP上に数多くあるBIやAIエンジンなどデータ活用に役立つツール群が使いやすくなるメリットは大きい。パブリッククラウドを単なるIT基盤やバックアップ先だけではなく、「データ活用の基盤としても役立つ存在」(野間部長)だと見ている。
ユーザー先の各種データベース、工場や現場のセンサーから得られるIoT系のデータなどを取得、統合して、データ分析をしやすいようにデータ整備を効率よく行う。さらには他社の優れたパッケージやクラウド上に存在するSaaSとリンケージしていくことで、データ活用領域におけるビジネス拡大を推し進める方針だ。(安藤章司)
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