矢野経済研究所は、20年の協働ロボット世界市場を調査し、主要国の関連政策や支援制度、参入企業動向、将来展望を発表した。

 矢野経済研究所によれば、人間が持てないほど重い物体のハンドリングや塗装、溶接など、人では難しい作業を産業用ロボットが行う一方で、協働ロボットはスクリュードライビングと力制御による曲面アイロンなどの精密な作業を、囲いなしで人と同じ空間内で行うことが可能になるという。そのため、産業用ロボットと協働ロボットはスマートファクトリーの構築で相互補完的な役割を果たしており、生産自動化に欠かせない領域を占めているとしている。
 

 一方、米中貿易摩擦の長期化による製造業の生産低迷や、COVID-19拡大の影響による生産稼働率の低下などを背景として、20年の協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで前年比87.9%の2万5474台、出荷金額は同89.7%の898億1300万円に減少する見込みとしている。協働ロボット世界出荷台数を導入業界別にみると、サービス業界やその他業界の構成比は、20年23.2%から30年には38.1%まで拡大すると予測している。

 世界でも導入が進んでいる中国は、マッサージ物理療法や電力グリッドでの高電圧ケーブルの保守作業など、今まで協働ロボットの導入が考えられていなかった新規応用分野での需要が増加しているという。また、韓国では政府主導のプロジェクトとして飲食商店街やハンドメイド靴工房などでも協働ロボットの導入が進んでいるとのことだ。

 日本でも、三品(食品・化粧品・医薬品)産業やサービス産業でのロボット活用を目標とするロボット導入実証調査(FS:feasibility study)事業が進められているという。

 さらに、矢野経済研究所では21年下半期以降、新型コロナウイルス感染拡大が収束し、景気や製造業での設備投資が回復していくことで、30年の協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで10万2378台、出荷金額で2230億8200万円まで成長すると予測。今後、協働ロボットにもIoTやAI、5Gなどの新技術がさらに導入され、活用分野が大きく広がっていく見込みという。

 また、協働ロボットの生産プレーヤーが増加していることから関連部品のコストが削減ができ、30年ごろに協働ロボット本体の価格が20年に比べて30%前後まで下がる見通しとしている。