インターネットイニシアティブ（IIJ）は9月15日、次世代IaaS「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2（GIO P2 Gen.2）」を発表した。仮想基盤にVMwareを採用している点などが特徴で、オンプレミスのクラウド化に向けた第三の選択肢を目指す方針を示した。10月1日に提供を開始する。
 
　染谷直・執行役員クラウド本部長は、企業のクラウド移行や採用の増加に伴い、クラウドビジネスの売り上げが継続的に伸びていることを示した上で、ユーザーの間では、複数のクラウドを組み合わせたマルチクラウドの利用が拡大していると説明した。現在、同社のユーザー約2000社のうち、約4分の1がパブリッククラウドを契約しており、この割合は増えていくと予想している。

　一方、国内約700社の情報システム部門を対象に実施した自社調査の結果から、サーバーの50％以上をクラウド化している企業の割合は20％以下にとどまっていると指摘し、「クラウドがかなり浸透し、利用シーンが増えているような感触とは裏腹に、日本に関してはまだ多くの資産がオンプレミスに残っている」と述べた。

　クラウド化を阻む要素としては、情報漏えいやセキュリティ、既存システムの改修コスト、ネットワークの安定性に対する不安があると紹介した。オンプレミスについては、設備更改の必要性と高額な初期費用、インフラ保守要員の確保、リソースの増減が難しいといった課題があるとした。

　こうした状況を受け、オンプレミスのクラウド化に向けて「いかに既存システムに影響を与えず、オンプレミスで発生していた課題をなくせるかという部分に焦点を当ててサービスを検討してきた」と説明。GIO P2 Gen.2の特徴については「プライベートクラウド同様の移行性を有しつつ、パブリッククラウドの特徴であるオンデマンドで自由にリソースの追加や削除ができる」と話した。

　GIO P2 Gen.2は、2015年に提供を開始した「GIO インフラストラクチャーP2（GIO P2）」のサービス構成を刷新した。IIJによると、仮想基盤にVMwareを採用することで、オンプレミス環境の設計思想や運用体制の変更が最小限になるという。またハイパーバイザーの管理をIIJが行うため、運用負荷を大幅に軽減できるほか、IIJの各種サービスと連携することで、拡張性の高いシステム構成も実現可能としている。

　IIJは、GIO P2 Gen.2をハブとしたマルチクラウドの活用を推進する考え。具体的な方向性として、染谷クラウド本部長は「GIO P2 Gen.2上にオンプレから資産を移してもらう。その上でマルチクラウドを実現する各種機能群をサービスとして提供し、それを利用してもらうことで、企業がマルチクラウドを実装するという流れをつくっていきたい」とした。

　他社との違いについては「パブリッククラウドもしくはIIJ GIOを使っているユーザーで、クラウドサービス単体で使っているケースはほとんどなく、ネットワークサービスとの併用がほとんど。ネットワークの先にIIJ GIOやパブリッククラウドがあるという世界を自由に手に入れることができる点に価値を感じてもらっている」と語った。（齋藤秀平）