富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、全社の基幹システムにマイクロソフトのERP「Dynamics 365」を採用する。まずは2022年中に社内のSE業務の管理システムを稼働させ、23年から販売、物流、会計、営業支援、顧客管理などの基幹業務システムを順次刷新する。同社の連結従業員数は約3万7000人で、この規模でDynamics 365を全社導入するのは国内で最大級の規模になる見込み。自社導入と並行してDynamics 365を軸とした一般顧客に向けたERP刷新SIビジネスも本格的に立ち上げる。
真茅久則社長
同社はこれまでオラクル製のERPをベースに基幹システムを構築してきたが、次期ERPの選定に際しては外販しやすいことを重視する。この背景には、同社が中小企業から大企業まで国内外で複合機ユーザーを多数抱えているためで、どの規模の顧客にも当てはまりやすいERPとして、Dynamics 365が適していると判断したようだ。
また、ERPだけでなくオフィスソフトやクラウド基盤のAzure、データ分析のPower Platform、コミュニケーションツールのTeamsなど、「マイクロソフト製品群によって企業活動に必要な業務システムやデータの一元的な管理が可能である」(真茅久則社長)点も評価した。
全国に販売拠点を展開する国内販売子会社の富士フイルムビジネスイノベーションジャパンが外販を担うとともに、マイクロソフト製品のパートナー認定の最上位「ゴールドパートナー」の資格を持つSIerのHOYAデジタルソリューションズを買収し、22年1月1日付で富士フイルムデジタルソリューションズに社名を変更して外販ビジネスを補完していく。
富士フイルムBIは既存の複合機関連ビジネスに加え、ITソリューション事業の拡大に力を入れており、今回のERPビジネスへの参入もその一環として位置付けている。ERPビジネスを含むITソリューション事業の世界展開にも力を入れ、顧客開拓を進めていく方針。(安藤章司)