NTTとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)、NTTコムウェアの3社は、今年6月から10月まで、脚立などの物体認識と作業者の姿勢推定AIを組み合わせて作業者の危険状態を判定するマルチAIを活用し、電気通信設備工事の安全向上に関する実地検証を行った。この結果、電気通信設備工事に欠かすことのできない脚立での作業で、検出率の高いもので約80%の精度で検出し、安全確認工程の稼働を6割削減できることを確認した。NTTグループでは、今後も新たな技術や仕組みの導入で安心・安全な職場づくりに取り組んでいく。

AIが人間の骨格情報や脚立の位置を検知する様子

 ESG経営が重要視されるなか、安心・安全な職場づくりは企業の重要な課題の一つとなっている。NTTグループでも、サステナビリティ憲章に新しい働き方・職場づくりを推進することを定め、取引先関係各社とともに人身事故ゼロを目指し、作業員が安心して業務に従事できる環境づくりに取り組んでいる。

 一方、安全対策の取り組みは経験値や目視に頼る部分も多く、安全対策の高度化と効率化が課題となっている。年間約6万件の電気通信設備工事を行うNTT Comでも、特に安全対策が求められる脚立での作業を伴う工事では、現地で現場監督者が工事作業者に注意喚起するだけでなく、工事模様を撮影した動画を安全監視員が目視で確認し、危険作業があった場合に事後指導を行っている。

 今回の実地検証は、NTTコムウェアのDXソリューション「SmartMainTech」を活用して特定の危険作業や危険状態を検知するマルチAIの開発を進めることにより、目視確認作業を抜本的に削減するとともに、安全監視員の業務を詳細な作業分析や適切な安全指導にシフトさせ、安全対策の高度化と効率化の両立を図ることを目的として実施した。

 実地検証では、実際の脚立作業の内容を撮影した映像をAI解析エンジンにかけ、危険状態の検出可否について検証を行うとともに、検出状況を画面(ビューア)上に表示する仕組みの開発・検証を行った。この結果、特定の作業では危険状態の約80%を検出でき、従来安全監視員がすべての動画を閲覧し、危険状態を目視で抽出していた場合と比較すると、約6割の稼働削減が可能であることを確認した。

 今後3社は、これまでは対象件数が膨大であることから事後確認が難しかった工事についても、マルチAIなどの技術を用いることで大幅に確認対象を広げ、広範囲の危険状態の把握に取り組む予定。また、過去動画から危険作業を抽出し、実例を動画で示すことで、作業者に対してより具体的な安全指導が可能となることから、指導品質の向上にも役立てていく。

 さらに、導入効果測定のため、今後も継続して現場での実地検証を重ねていく。また、AIの精度向上を行い、今後NTT Com内の一部工程での本格利用の検討を進めるとともに、脚立作業を行う他業界の工事現場にもつながるよう展開していく。