オンラインスクール事業などを手掛けるキラメックスの法人向けオンライン研修サービス「TechAcademy IT研修」を利用する企業が800社を超えて増加している。西武バスでは、9月からDX人材の育成を目的に同サービスの利用を開始。研修を受けた社員が、学んだ知識を業務で生かす場面が出てきているという。
キラメックス 樋口隆広社長
TechAcademy IT研修では、IT基礎からプログラミング、AIなどをテーマに50の研修コースをラインアップしている。実践的な内容に加えて、受講者には専属のメンターが付き、マンツーマンでサポートするのが特徴だ。キラメックスの樋口隆広社長は「選考を通過した豊富な知識や高い技術を持つ人をメンターとして採用しているため、質の高いサポートを提供できる」と説明する。
現在は大手企業を中心に800社以上が利用している。樋口社長は「研修といえば、リアルで実施するのが当たり前だったが、新型コロナウイルスの影響もあり変化している。今後の企業研修は、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型になっていくのではないか」と展望する。
オンライン研修の様子
西武バスでは、遠隔監視システムを活用した自動運転の実証実験や「Google Maps」上にリアルタイムでバスの位置情報を掲載するなど、サービス面でのデジタル活用を進めてきたが、「社内のDX推進には着手できていなかった」と同社の齋藤大輔・企画部長は話す。その中で、今年度から「西武バスDX戦略」を策定し、本格的に取り組みを開始した。齋藤企画部長は「戦略の中で目標としたのがボトムアップでのDXだ。そのため、現場で活躍できるDX人材を早急に育成する必要があった。多くのオンライン研修があるが、しっかり知識と技術を身につけられると思い、TechAcademy IT研修を利用することにした」と述べた。
研修は9~10月の2カ月。TechAcademy IT研修内で提供されている「DXマネジメント研修コース」を使って実施した。同コースでは、具体的な事例を基に業務設計やデータ分析、WBS(Work Breakdown Structure)の作成などを行いDX推進に必要なマネジメント方法を学べる内容となっている。受講したのは、社内から選抜された4人の社員で「研修を開始した直後は戸惑いもあったようだが、すぐに慣れ、充実した研修となった。進捗状況もキラメックスから詳細な報告が上がるため管理する立場も安心できた」(齋藤企画部長)という。また、研修期間中は「デジタルを活用していくという意識を持たせるために社員とのコミュニケーションは全て『Microsoft Teams』で実施した」としている。
研修終了後は、受講した社員から「業務効率化のためにこの製品を利用したい」といった意見が出るようになったほか、従来に比べてツールを活用したコミュニケーションの頻度が高まるなどの変化が現れた。齋藤企画部長は「最初の取り組みとしては成果が出ている。まずは、今回のように現場で小さな成功体験を積み重ねていきたい。それが会社全体のDX推進の成功につながる」と話した。(岩田晃久)