英セカンドマインドが自動車モデルベース開発向けAI技術の拡充に乗り出す。2月3日の事業戦略発表会で、マツダに複数年のアクティブラーニングプラットフォームをライセンス供与することを通じ、日本市場開拓の足掛かりとしたい意向だ。ガリー・ブロットマンCEOは自動車モデルベース開発の効率化や工程期間、環境負荷軽減を後押しして「今後1年から1年半をかけて成長させていく」と意欲を示した。
セカンドマインド日本法人の井上友宏代表(左)と英本社のガリー・ブロットマンCEO
セカンドマインドは2016年に設立。世界全体で50人規模のスタートアップ企業として機械学習技術の提供に注力している。20年に立ち上げた日本法人の井上友宏代表は、「導入効果が見えるエンジンキャリブレーション用途での売り込みからはじめ、エンジン以外の複雑な制御技術へ適用範囲を広げていきたい」と展望を語った。同社によると、エンジンから生まれる力を駆動輪へ効果的に伝えるパワートレインの設計開発など各方面に対応していく上で、アクティブラーニングプラットフォームの導入効果に期待が高い、としている。
自動車モデルベース開発にかかわる導入効果について、「パラメーターを最適化すること」を示すキャリブレーションは、従来型と比較して最大で80%少ないデータ数でも高精度なモデルを作成する。またデータ測定に必要なテスト回数も削減して期間を最大50%短縮するほか、開発段階で必要となる高価な試作品の数も最大40%削減できる。
自動車モデルベース開発については、排出ガス規制の強化なども影響して開発製造段階から環境に配慮した取り組みが求められている。マツダは、SKYACTIVエンジンを制御するECUのキャリブレーションにセカンドマインドの技術を採用することでプロセスの効率化や環境関連で複雑化する問題に対応する。