リンクスとNTTタウンページは12月15日に書類送付業務のDXに関連するパートナーシップ協定に関する記者発表会を開催した。第1弾として同日、国内初の債権譲渡の通知などに関する特例認定を受けた「債権譲渡通知等送信サービス」を開始した。
国内の書類発送数は年間約149億通(2021年度、総務省統計資料より算出)に上り、その大部分を企業や自治体から消費者に宛てたものが占めている。書類送付業務は業務負担が大きいだけでなく、紙の消費や配送によって大量のCO2が排出されることも問題視されている。
NTTタウンページ 井上登晃 取締役
協定に基づく取り組みの第1弾となる債権譲渡通知等送信サービスは、書類送付業務をリンクスが提供するSMSマルチサービスプラットフォーム「SMAPS」に置き換えることで、DX推進を図る。SMAPSはメッセージ送信に加えて、本人認証や双方向コミュニケーション、決済などをワンストップで実現するのが特徴。ペーパーレスだけでなく、キャッシュレス、コールレスでも業務効率化に貢献する。トラッキング機能も備えており、メッセージが到着しているか、受信者が開封したかなどを見える化することができる。
サービスは新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)を活用していることもポイントだ。同制度は新たな技術の実用化やビジネスモデルの実施が現行規制との関係で困難な場合に、事業者の申請に基づく規制官庁の認定を受けた実証を行い、得られた情報やデータを用いて規制の見直しにつなげるもの。リンクスは20年4月から経済産業省との協議を開始し、22年4月に新事業特定制度を用いたSMSによる債権譲渡の通知などに関する特例の適用を受けた新事業活動実施者として認定を受けた。
今回の新サービスは弁護士事務所や債権回収企業を対象としたものだが、今後はNTTタウンページによるオリジナルブランドでのサービス提供やSMAPSの機能追加、ビジネスパートナーと連携した新たなソリューションの検討・開発・検討を予定しており、幅広い業界や業務を対象にしていく。具体的にはカスタマーサービスや契約、催促、請求に関する活用を視野に入れている。
NTTタウンページの井上登晃・取締役ソリューション営業部長は「リンクスの持つ高いサービス開発力とNTTタウンページが持つ全国をカバーする販売網によって、事業を拡大していきたい」と協定によるシナジーに期待を示した。また、SMS配信サービスの年平均成長率が48.9%で24年度には84億通に達するとの市場予測に触れ、「企業・自治体から消費者への通知手段としてSMS配信サービスは定着していくだろう」とコメントした。
(大蔵大輔)