大塚商会が2月1日に発表した2022年12月期通期(22年1月1日~12月31日)の連結決算は、売上高が8610億2200万円で計画値を4%上回った。22年は「収益認識に関する会計基準」を適用しており、売上高の増減率は前期比1.1%増だったものの、前期に同基準を適用したと仮定した場合の増減率は5.2%増となる。大塚裕司社長は、景気が回復傾向にあるほか、これまで進めてきた社内向けの取り組みが成果につながっているとの見方を示し、「確実に手応えを感じている」と説明した。23年12月期は売上高で初の9000億円超えを目指す。
(齋藤秀平)
大塚裕司 社長
大塚社長は同日の決算説明会で「連結・単体の売上高、各利益ともに久々に計画を達成した」と述べ、安堵の表情を浮かべた。前期は増収増益となったものの、売上高と各利益はいずれも計画未達で終わっていた。22年は営業利益が547億6800万円で計画比102.2%、経常利益が566億3900万円で103.9%、当期純利益が400億2200万円で109.2%だった。純利益は前期比0.2%増で2期連続の増収増益も達成し、「1円でも増収増益にしたいという気持ちで12月は取り組んでいた」と振り返った。
大塚社長は今回、01年の社長就任以来、「市場の流れをある程度見る指標の一つ」としている「一口座当たりの売上高増減率」を初めて公表した。22年は4月以降、前期を上回る状況が続き、特に11月が9.5%増、12月が12%増と高い伸び率で推移していることを示し「市場がよくなって、お客様の財布が少し緩んできたとみえる」と分析した。
さらに、マネジメントのやり方を変えたり、労働分配率を見直したりといった取り組みを進めたことに触れ「お客様に寄り添い、ニーズにお応えするという意味で追加販売が増え、『オフィスまるごと』のコンセプトとともに売り方が変わってきた。まだ道半ばだが、いろいろ施策を打った結果が少しずつ現実の数字して表れている」とも語った。
同基準の適用によって、22年は売上高に365億円減の影響が出た。内訳としては、主に複写機のカウンター料金が売上高に計上できなくなったことがある。複写機の保守などを含めたサービス&サポート事業の売上高は、前期比2.7%減の3193億5000万円となったが、前期に同基準を適用したと仮定した場合の増減率は6.6%増と実質ベースでは堅調に推移。コロナ禍で大きく下がった複写機の保守は、年間を通じて0.1%増とわずかに伸び、大塚社長は「底を打ったという意味では明るい兆し」と話した。
ハードウェアの販売台数は、複写機が0.9%減の3万6697台、サーバーは11.7%減の2万1726台、PCは26.3%減の106万8321台となった。ただ、22年第4四半期(10月~12月)はいずれもプラスになっており、「だいぶモノ不足は解消されてきた」との見方を示した。
23年の基本方針では、AI活用のノウハウ向上のほか、マネジメント改革や労働分配率の改善、人材育成といった取り組みに重点を置くと説明した。
このうち、AI活用では、予定が入れば入るほど活用が下がっていると指摘。22年8月から成績上位層を含めて全営業担当での活用を始めたとし、「AIは人間が気づかないものを気づかせてくれるので、それを基にさらに素晴らしい仕事を営業担当ができるように後押ししたい」とした。
大塚社長は、人員増に頼らない成長基盤の構築を目指した「大戦略」が本格稼働した1998年以降をDXの第1段階、CRMとSFAを組み合わせた独自システム「SPR(Sales Process Re-engineering)」が本格稼働した03年からを第2段階と位置付けた。AI活用を推進する今後は第3段階に入っていくと強調し、23年は「売上高9000億円の目標に挑戦し、ITやDXで会社の収益性や生産性が上がることをしっかりPRしていきたい」と意欲を見せた。