華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)は3月31日、中国本社の決算発表に合わせて侯涛(ホウ・タオ)社長が会見を行った。今後の方針として、国内市場に参入して以来、継続しているパートナー企業との協業をさらに推進し、ICT人材の育成にも力を注ぐと語った。
侯 涛 社長
候社長は、社会全体、産業全体のDXおよび低炭素化に貢献するという会社の基本方針を強調。日本のサプライチェーンを重視しており、パートナー企業とのさらなる関係強化を図りたいとした。
パートナー企業との協業の例として、スマートフォンのカメラ開発に関して同社が持つ特許やユーザーの行動分析データなどを開放し、最適な製品開発に役立ててもらったことを紹介。候社長は「日本のパートナー企業の皆様に向けて価値を創出し、ウィンウィンの関係を実現していくことが使命」と述べ、さらにジョイントイノベーションを推進したい考えを示した。
また、人材育成に力を入れていることにも言及。将来的にICT産業に従事することを想定し、大学生向けに20以上の分野で100以上の資格取得の機会を提供していることを紹介。「ビジネスだけでなく社会的責任も重視している」と話した。
一方、中国本社の2022年通期の決算では、売上高は前期比0.9%増の6423億元。米国の半導体輸出規制が続く中、スマートフォンなどコンシューマー向けの事業は12%減と落ち込んだ一方、企業向けクラウド事業などが好調で、ほぼ横ばいの業績となった。会見で、孟晩舟(サブリナ・モン)CFO(4月1日から輪番CEO)は、米国からの制裁が続いていることについて「企業として地政学を変えることはできないが、環境に適応し最大限できることをしていく」と述べた。また、5Gの約10倍の能力をもつネットワーク技術として同社が提唱する「5.5G」について、輪番CEOだった徐直軍(エリック・シュー)氏は、「25年から製品を世界に展開していきたい」と見通しを語った。
(堀 茜)