チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは7月13日、事業戦略説明会を開催し、「防止」を重視した製品戦略の推進と、パートナーとの協業による中堅中小企業の開拓やサポート体制の強化に取り組み顧客獲得を目指す方針を示した。5月1日付で社長に就任した佐賀文宣氏は「当社の『防止』を第一とした高度なセキュリティ製品により、お客様のお役に立てるようにしていきたい」と抱負を述べた。
左から佐賀文宣社長と高橋弘之Office of the CTO
同社は、防止を実現するために必要な考え方として「Comprehensive(包括的)」「Consolidated(統合的)」「Collaborative(協働的)」を挙げ、頭文字を取った「3C」をコンセプトにネットワーク、エンドポイント、クラウドなどさまざまな環境向けのセキュリティ製品を展開している。佐賀社長は「社長就任以降、多くのお客様やパートナーを訪問したが、当社に対してファイアウォールのベンダーという認識を持つ方々が多く、われわれの最新の状況を発信するためのマーケティングや営業が足りていないと感じている」と課題を語り、マーケティングを強化する姿勢を示した。
国内の戦略では、パートナーとの協業を加速させる。現在は、エンドポイントやクラウドといったファイアウォール以外の製品のサポートを提供できるのが、同社と一部のパートナーに限られていることから、ディストリビューターやパートナーとの連携を強化し、サポート体制を強化する。中堅中小企業の開拓を進めるために販売体制の拡充を図るとした。佐賀社長は「既存パートナーとの関係を大切にしていくことはもちろんだが、新しいサービスなどで市場を伸ばしていこうとすると新しいパートナーの力も必要になる。中堅中小企業に強いパートナーやディストリビューターとの関係を強化したい」と述べた。官公庁や重要インフラに対する営業体制も強化し、長期的な成長を目指す考えも示した。
中堅中小企業の開拓で軸となるのが、セキュリティ製品群「Infinity Spark」だ。UTM(統合脅威管理)製品、メールセキュリティ、エンドポイントセキュリティなどのさまざまな製品をパッケージとして提供する。例えば、UTM製品「Check Point Quantum Spark Pro」シリーズは、エンタープライズ向けの製品をベースとしており豊富な機能を搭載、導入も容易なことから、利用企業が拡大しているという。ポータルサイト「Infinity Portal」上で、すべての製品を一元管理できるのを特徴としている。中堅中小企業の場合、セキュリティ人材が不足しているため、MSSP(マネージドセキュリティサービス事業者)経由での販売に注力する。
高橋弘之・セキュリティ・エンジニアOffice of the CTOは「サイバー攻撃の増加により、中堅中小企業でも抜け漏れのない高度なセキュリティ対策が求められている。今後も(中堅中小企業が)導入しやすい形で製品を提供する」と述べた。
(岩田晃久)