インターネットイニシアティブは、千葉県白井市に建設していたデータセンター(DC)の2期棟が運用を開始したことを受け7月19日、現地で報道向けの見学会を開催した。大小さまざまな規模での利用に対応する施設で、環境性能の高さなど最新設備をアピールした。SaaS事業者やプライベートクラウドの構築需要などを想定している。
DCの市場動向について同社は、階層化が進んでおり、ハイパースケール対応からエッジコンピューティング向けまで多様化していると分析。DCは消費電力が大きい施設であることから、カーボンニュートラルを目指した省エネ対策、AIの普及に対応するコンピューティングリソースの確保などが求められているとした。
久保 力 部長
7月から運用を開始した白井2期棟は、2019年に運用開始した1期棟の機能を継承しつつ運用を高度化。AI利用など今後拡大する新たなニーズ向けに計画中の3期棟につながる位置付けという。基盤エンジニアリング本部の久保力・基盤サービス部長は「2期棟は、自社クラウド基盤のためのDCの最終形だと考えている」と説明。DCの需要増に対応し、SaaS事業者やプライベートクラウド構築などでの利用を想定している。立地しているエリアは他社のDCが集積しており、安定した地盤で災害リスクが小さいなどのエリア特性も説明した。
白井2期棟は、外気冷却空調を採用。外気利用により、消費電力の大幅な削減を実現している。電気設備にリチウムイオン蓄電池を導入し、電力価格が割安な時間帯に充電することで、ピーク電力を抑制し、電気料金を低減できるシステムになっている。ラックごとに顧客と契約するが、2分の1や4分の1サイズのラックも用意。「大規模から小規模まで、すべてのレイヤーで需要に対応するソリューションを提供する」(久保部長)とした。
環境対応については、23年4月から非化石証書の調達と、同証書の顧客向け代理購入を実施。電力供給マッチングプラットフォームによる顧客への環境価値提供などの取り組みを強化しており、カーボンニュートラルなDC運営を強調した。
19年から運用している1期棟は完売しており、2期棟について久保部長は「問い合わせを多くいただいており、需要は大きい。早い段階で利用が進むと思う」との見通しを示した。同敷地内に建設を計画中の3期棟について同社は、AIの普及拡大を見越し、1ラック当たりの消費電力拡大への対応、冷却装置の工夫やより一層の省エネ性能を備えた計画を進めていきたい方針だ。
(堀 茜)