米NetApp(ネットアップ)の日本法人は7月末に記者会見を開催し、2024年度の事業戦略を説明した。中島シハブ・ドゥグラ社長は、「Savings(コスト削減)」「Simplicity(シンプリシティ)」「Security(セキュリティ)」「Sustainability(サステナビリティ)」の頭文字を取った「四つの“S”の価値」を同時に提供することに注力することで、ユーザー企業の成長に寄与していくとした。
中島シハブ・ドゥグラ 社長
同社はNAS(ネットワーク接続型ストレージ)製品の市場で大きなシェアを獲得している。近年はストレージOSの「ONTAP」をオンプレミスのストレージ装置だけでなく、クラウドを含む幅広い環境で利用できるようにすることで、複数のインフラにまたがるデータ基盤を簡単に運用可能にすることを目指している。
中島社長は「クラウドはDXを加速しデータを活用するための最も効率的なプラットフォーム」とし、データやAIの活用機運が高まるのに合わせてクラウドは一層重要になるとの見方を示す一方、インフラの分散化により管理工数は増大していると指摘。同社では、ハイブリッドクラウド環境に対応したデータ管理ツールの「BlueXP」や、クラウドの利用状況を分析しコスト削減の余地を提示する「Spot」などを提供し、IT運用における課題の解決に取り組んでいると紹介した。
新製品としては今年、基幹業務向けに可用性を追求したオールフラッシュ型のSANストレージ「ASA Aシリーズ」を発売。また、データ保護機能を活用した「ランサムウェアリカバリ保証プログラム」を新たに導入し、万が一のランサムウェア被害時にデータを復旧できなかった場合、製品価格相当の返金を行う取り組みを開始した。
また、サブスクリプション型ストレージサービス「Keystone」でパートナー数が昨年度比約2倍になったことも明らかにし、間接販売でもサービス型商材が好調に推移していると説明した。
(日高 彰)