請求書や領収書の受取・入力代行サービスを手掛けるTOKIUMは、大規模言語モデルのAIを駆使して契約書や稟議書の管理代行サービスを、向こう3年以内をめどに開発する。請求書に関連する契約書や契約に至るまでの経緯を示す稟議書をAIで分析することで、請求書に記載されている金額が契約書の内容と合致しているかを自動的に突き合わせるほか、取引の内容に対して支払いが割高になっていないかを比較するサービスを想定している。
西平基志 取締役CTO
足元のサービスは請求書や領収書の入力代行サービス「TOKIUMインボイス」「TOKIUM経費精算」が中心で、帳票の中身までは踏み込めていない。しかし、「より総合的な支払管理代行サービスへと拡充していくには、支払いの中身の理解することが欠かせない」(西平基志・取締役CTO)として、契約書や稟議書の管理代行ができるシステム開発に取り組む。
請求書にひも付く文書を分析することで、例えば「営業支援SaaSで100人分のライセンス契約をしているが、実際は80人分のライセンスで足りるのではないか」「一度に100個以上仕入れれば単価が1割安くなる契約なのに請求書では割引を失念されている」「もっと安く性能のよいSaaSが登場したので、現行SaaSを自動更新せずに乗り換えるべき」といった提案が可能になる。
現行の管理代行サービスでは、取引先の社名、金額などをAI-OCRと人の目でデジタル化してユーザーに受け渡しているが、発達著しい大規模言語モデルを活用することで契約書や稟議書も読み解けるようにする。企業の支出を巡っては担当者の異動や事業の変化で管理に手間がかかり、「支出の最適化を代行するサービスの需要は大きい」(西平CTO)とみる。
同社では今年10月から始まるインボイス制度への対応需要が追い風になり、直近1年余りで顧客数が約1.5倍の1500社に増えた。今後は支出全般に関する分析や比較、コスト最適化への提案を行うことでビジネスの幅を広げていく計画だ。
(安藤章司)