カシオ計算機はオンライン型授業支援ツール「ClassPad.net」の拡販に注力している。2023年4月に機構改革によって体制を強化し、8月にはツールのバージョンアップを実施した。電子辞書の販売で構築した営業網を積極的に活用してアプローチを図り、販売は電子辞書と同様に全てをパートナー経由とする。GIGAスクール構想による端末の普及、教育手法のデジタル化を追い風に、22年度末に245校だった導入校数を26年度には1750校まで拡大したい考えだ。
ClassPad.netは21年4月に国内で本格展開を開始。オンライン辞書やデジタルノート機能、グラフ・図形の作成や関数の計算などに利用できる数学ツール、課題の配布から回収、返却までを管理する仕組みなどを備える。授業中の学習ログやアプリの操作ログを分析することで、習熟度に応じた教育の提供にも役立てられるという。
太田伸司 常務執行役員
拡販の強化に向けた機構改革については、教育関連ソフトウェアの戦略立案から商品検討、販売、サポートまでを担う組織「EdTech BU」を立ち上げた。
バージョンアップでは、デジタルノートの複数人同時編集や「Word」「Excel」「PowerPoint」各ファイルへの対応機能などを追加し、ディスカッション、グループワークなどの「アクティブラーニング」に使いやすい仕様とした。
9月11日の報道向け説明会で、常務執行役員の太田伸司・EdTech BU事業部長は、販売戦略に関し「20年間にわたり電子辞書を国内販売していることが一番の強み」だとし、これまでに培った教育現場とのつながりを生かし、既存の販売パートナーと連携して進めていく姿勢を示した。
現時点では高校生向けを主としているが、今後は小中学校への訴求強化を視野に入れ、コンテンツの拡充やUIの見直しなどに取り組む方針だ。
(藤岡 堯)