Works Human Intelligence（WHI）は、タレントマネジメント製品「COMPANY Talent Management」の機能拡張に力を入れている。2023年8月の新機能追加では、専門スキル人材を育成するためのジョブ型のキャリアパスと、従来型のさまざまな職種を順繰りに経験するジョブローテーションを基本としたメンバーシップ型のキャリアパスの両方に対応した、ハイブリッド方式の機能を拡充した。
 

　日本企業に多いメンバーシップ型は、定期的な異動や転勤が原因で専門的なスキルを軸としたキャリアパスが描きにくいことが人材育成上の課題とされてきた。一方、ジョブ型は専門スキルを伸ばすのには適しているが、将来的に会社全体を掌握する本部長クラスや役員を育てるには向いていないとされる。こうした中、両方式のよいところを両立させるハイブリッドな人事制度を導入する動きが活発化しており、「日本企業に馴染みやすいタレントマネジメントによって人的資本の最大化に役立ててもらう」（成瀬千絵子・執行役員）と機能強化の狙いを話す。

　WHIでは、経営者や人事部門だけがタレントマネジメントの仕組みを使うのではなく、「これからキャリアを伸ばしていく従業員も活用できる」（同）とアピール。とくに専門スキルや希少スキルを身につけたいと考える従業員は、会社の経営戦略とタレントマネジメントから読み取れる職務内容とを照らし合わせて、今後会社が成長する上で必要になるであろうスキルを能動的に身につけられるようにする。同時に専門スキルを身につけた人材を可視化し、相応の報酬を得られるようにすることで希少人材の流出を防ぐ仕組みも拡充している。

　WHIのもう一つの主力製品で大手企業を中心に1200社余りの企業やグループに納入してきた人事給与システムとのデータ連携もスムーズに行える強みも相まって、本年度（23年12月期）はタレントマネジメント製品に対する問い合わせ件数が「前年度比で1.5倍で推移している」（同）と手応えを感じている。WHIは直販をメインとしているが、タレントマネジメントの導入や運用・改善の部分でビジネスパートナーとの連携も検討している。（安藤章司）