伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は10月13日の説明会で、生成AIの活用を推進するため、市場で提供されている大規模言語モデル(LLM)の利用を優先的に進める方針を示した。顧客に対して、独自のLLMを自社開発するよりも速く価値を提供できると判断した。
寺澤 豊 部長
新事業創出・DX推進グループDXビジネス推進事業部の寺澤豊・AIビジネス部長は、市場の動向について「新しいLLMが毎日のように開発されている」と説明し、「われわれとしては、そういったものを取捨選択しながらお客様独自の環境をつくり上げ、クラウドやオンプレミスで使ってもらえるようにしていきたい」と話した。
国内では、IT企業が独自のLLMの研究や開発を進めている。寺澤部長は「独自のLLMを開発する選択肢は捨てていない」と述べたが、自社開発では顧客への価値提供のスピードが落ちると分析。今後はオープンソースと商用を含めて複数のLLMを活用し、幅広い企業のニーズに応えていくとした。
具体的には、特定の分野や業界に関する内容を学習させるLLMと、最終的な回答を生成するLLMの二段構えで展開すると紹介。より正確に回答を出せるようにする仕組みも提供すると付け加えた。
CTCは現在、生成AIを社内で活用したり、企業の独自利用に特化した対話型生成AIの環境を構築する「AOAI環境構築サービス」を提供したりしている。ただ、生成AI絡みのビジネスの規模は、現時点では「かなり小さい」(寺澤部長)。新しい分野のため、人材の不足がビジネスを拡大する上でボトルネックになっているという。
説明会では、日本語に特化した対話型生成AIを開発するrinnaとの協業も発表された。日本語の学習データで開発されたrinnaのLLMをベースに、企業の業務に特化した生成AI環境を構築・開発を目指す。
(齋藤秀平)