日本IBMは12月1日、AIとデータのプラットフォーム「IBM watsonx」を構成するソフトウェアの新製品として、AIモデルのリスクを管理できるツールキット「watsonx.governance」の提供を開始した。将来的に予想されるAIに関する規制や政策に対して、AIの安全性、透明性を担保することで対応できるようにする狙いだ。
watsonx.governanceは、AIモデルを構築したり、デプロイしたりするワークフローを管理、監視、統制できる。具体的には、機械学習と生成AIを含めたAIモデルの実態を把握するインベントリ管理機能や、法規制やルールをどの程度順守できているかなどをダッシュボードで可視化するリスクガバナンス機能、AIモデルの精度が劣化していないか継続的にモニタリングする機能がある。
竹田千恵 理事
4日に開かれた説明会で、生成AI活用時の課題に関して、テクノロジー事業本部Data and AIテクニカルセールスwatsonx Client Engineeringの竹田千恵・理事は「生成AIは、企業にさまざまな価値を提供する一方で、やみくもに活用してしまうと、最終的に説明可能な出力が欠如するという新たなリスクにつながる」と指摘した。
さらに同社はAIを取り巻く社会的背景についても言及し、現在、グローバルでAIに対する規制やガイドライン制定の動きが広がっている点に触れた。国内でも、経済産業省と総務省が「AI事業者ガイドライン」を作成しており、企業はしっかりと規制に対応し、AIガバナンスを実践していく必要が出てきていると説明した。
IBM watsonxは、AIの構築・運用のための「watsonx.ai」、データストアの「watsonx.data」、今回のwatsonx.governanceの三つのソフトウェアで構成される。組み合わせによる利用のほか、単体での導入も可能だ。
(大向琴音)