富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)とサーバーワークスは、ユーザー企業のクラウド移行支援を目的とした合弁会社「富士フイルムクラウド」を3月1日付で設立する。出資比率は富士フイルムBIが66%、サーバーワークスが34%で、国内販売会社の富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(富士フイルムBIジャパン)の販売網を駆使して全国の中堅・中小企業向けにサービスを展開する。
左から富士フイルムBIの阪本雅司専務、
富士フイルムクラウド社長に就任予定の菅谷秀一氏、
サーバーワークスの大石良社長
新会社は業務システムのクラウド移行や運用保守の需要に応えられるサービスメニューの開発に取り組む。富士フイルムBIではマイクロソフト製ERP「Dynamics 365」の自社導入分が2024年から順次稼働を開始する。このタイミングで、Dynamics 365の国内販売をスタート。これと連動して例えば「販売管理は既存の自社開発システムをクラウド環境へ移行して使い続けるが、ほかはDynamics 365を活用するといったマルチクラウド型の需要を取り込んでいく」(富士フイルムクラウド社長に就任予定の菅谷秀一・富士フイルムBI事業企画管理部プロジェクト推進室室長)との戦略を描く。
サーバーワークスとの合弁事業としたのは、同社が「Amazon Web Services(AWS)」の専業インテグレーターであることから「AWSへの移行や運用のノウハウを得られる」(富士フイルムBIの阪本雅司専務)ため。サーバーワークスは「中小企業のAWS活用とDXを重点施策の一つ」(大石良社長)と位置づけており、全国に販売網を持つ富士フイルムBIと組むことで強力な販売チャネルを得ることをメリットに挙げている。
富士フイルムBIはDynamics 365を使った基幹業務システムの構築に強みを持つ富士フイルムデジタルソリューションズや、オーストラリアに本社を置いてDynamics 365ビジネスを手がける富士フイルムマイクロチャネルサービシーズなど、マイクロソフトのクラウドサービスに精通したグループ会社を持つ。今回、富士フイルムクラウドを立ち上げることでAWSへの対応力を強化する。新会社では従業員数500人未満の企業を主要なターゲット層とし、27年度に20億円の売上高を目標に据える。
(安藤章司)