NTT東日本と東京大学は4月17日、産学協創協定を締結した。地域の課題を解消し地域循環型社会を実現するため、社会起業家の創出や次世代のデジタルネットワーク基盤の構築を目指す。地域のデジタル化に取り組んできたNTT東日本が持つ知見と、東京大学の先進的な研究と教育システムを組み合わせて地域との協創を推進する方針で、「自立型社会の主導」と「分散型社会の主導」の二つの柱を軸に取り組む。
NTT東日本の澁谷社長(右)と東京大学の藤井総長
日本は現在、人口やITのトラフィックが首都圏に集中しており、地方との格差が生まれている。今回の協創によって、一極集中型ではなく各地の地域独自の特色を生かした持続可能な自律分散モデルの地域循環型社会を「研究所にこもるのではなく、フィールドに出て地域の人と一緒に取り組むフィールド実践型でつくる」(NTT東日本の澁谷直樹社長)計画だ。
第1の柱である自立型社会の主導については、デジタル技術を活用した社会起業家の育成プログラムを実践し、社会起業家を育成する。具体的なプログラムは今後話し合っていく予定で、まずは長野県小布施町から実践を始める予定。そのほか、地域が求める姿を可視化するため、デザインシンキングやワークショップも展開していく。
東京大学の藤井輝夫総長は「地域の課題解決に学生も参加し、最先端の通信技術などを駆使しながらともに価値を創造したい」と語った。
第2の柱となる分散型社会の主導に関しては、NTT東日本のネットワーク基盤を活用して、エッジコンピューティングなど、地域ごとの分散したIT環境の構築とその活用を目指す。まずは東京大学が研究を進めているバイオ分野のDXや、ローカル5Gなどの次世代ワイヤレス技術の実証に取り組む。
澁谷社長は「提携期間は3年だが、ありがたいことに中長期的に連携していきたいとの話もいただいている」と今後への期待を示した。
(大向琴音)