NECは、神奈川県と兵庫県に設置しているデータセンター(DC)に新棟を開設し、5月14日に報道関係者に公開した。生成AI向けに需要が高まっているGPUサーバーにも対応し、消費電力を抑え100%再生可能エネルギーで稼働するなど環境性能も向上。エンタープライズやサービサーからの利用を見込んでいる。
新たに開設したのは、神奈川DC2期棟と神戸DC3期棟。神奈川は2014年以来10年ぶり、神戸は19年以来5年ぶりに新棟を増設した。投資額はそれぞれ200億円規模。前者は約1500ラックを収容し電力容量は約8メガワット、後者は約1700ラックで約11メガワットを確保。生成AI向けなどで需要の増加が見込まれる高集積・高負荷なGPUサーバーにも対応する。
繁沢優香 マネージングディレクター SVP
DC新棟の特徴について、安心・安全、効率・グリーン、コネクティビティーの3点に注力したと説明。セキュリティー面では、入館時に7段階の認証を課しつつ、ウォークスルーの顔認証で利便性も確保した。サーバーを冷却するための消費電力を抑え、DCの電力効率を示す指標(pPUE値)は1.16と、国内商用DCでは最高クラスの省エネ性能を実現した。コネクティビティーでは、パブリッククラウドへの閉域接続サービスがあり、マルチクラウドでシステムを構築したいという顧客のニーズに応える。
GPUサーバー対応エリアは、ラックあたり20kW超の排熱に対応。冷却装置を強化し、レイアウトのカスタマイズに対応する。新棟に対する引き合いは、特にGPUサーバー対応エリアに高い関心が寄せられているという。
クラウド・マネージドサービス事業部門の繁沢優香・マネージングディレクターSVPは、新棟開設の背景について「AIを含めてDCへの需要が高まっている。顧客のDXを支援するプラットフォームとして増設した」と説明。同社の顧客である金融などの大手企業は、基幹データをパブリッククラウドに置くことに抵抗がある会社が少なくないとして「安心でグリーンなDCを提供することで、特にセキュリティーへの関心が高い顧客に使っていただける」と展望した。
(堀 茜)